反社とJK【灰谷蘭】

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目が覚めた。




夢かと思った子供の泣き声は、蘭ちゃんの電話の相手？








｢起きた？｣





｢蘭ちゃんのせいじゃないよ｣








電話を切った蘭ちゃんが私を撫でる。



電話の相手は？

竜胆だよ。





本当かなぁ。



じゃああの聞き慣れた泣き声は、やっぱり、夢か。








｢･･･蘭ちゃん、寒い。もっと近づいて｣





｢暖房つける？｣








蘭ちゃんの声に、首を横に振る。



本当はそんなに寒くない。





何かは分からない。

前兆も何も無い。



でもなんだか嫌な予感がして、なんだか胸が痛い。



だから、苦しいくらいに抱きしめて。




ぎゅって、胸がいっぱいになるくらい。

そしたら、何も考えずにいられるから。





だけど蘭ちゃんは優しいから、私をそっと抱きしめる。


もう痛まない傷に触れないように。

私が苦しまないように。



割れないように、壊れないように。






分かってる。


私は蘭ちゃんが好き。


蘭ちゃんも、私が大切。




でも、恋愛じゃない。

恋愛にしちゃいけない。




蘭ちゃんは私だけを大切にできない。

大切なものを作っちゃいけない。




私以外にも大切にしなくちゃいけないものがあって、私以外の女に甘い言葉を囁かないといけなくて。


だから私は蘭ちゃんの1番にはなれないし、蘭ちゃんは私を1番にはしないの。




こんなに近いのに。

こんなに優しいのに。




私を女として抱いたことは1度もない。










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