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35、10人 ページ35






深い眠りだった。


やっとの事で現に戻ろうとしている時、

私は夢を見た。


なんの罪もない一般市民を、斬る夢を。


やだ、やだ、その一心で目をこじ開けた。


勢いよく起き上がった時、プツン、と点滴の針が抜けた。



「・・・抜けちゃった」



て、そうじゃない、みんなの無事を、一般市民の無事を確かめないと。


思っていた以上に、意識ははっきりしていた。

誰でもいいから、情報を、そう思って管をぶち抜き立ち上がろうとした時、腕を掴まれた。



「どこ行くんでィ、点滴まで抜きやがって」



そう言って、私を掴んだままナースコールを押す総悟。



「・・・総悟。私・・・殺した?」



誰を、とは言わなくても理解してくれた。


何かを考えたのか、考えなかったのか

よく分からない間を置いて、私の瞳を見て



「・・・全員で116人、敵は屯所内外にいた。

その中で一般市民は36人、うち10人は死んだ」



そう言った。


血の気が引いた。

頭が真っ白になった。


殺したんだ、一般市民を。



「行かないと・・・」



総悟の手を振り払って走ろうとするも、もたついて転ぶ。

身体中が痛い、肺が、頭が痛い。


それでも立ち上がろうとする私に総悟は問掛ける。



「どこに行くってんでィ」


「謝らないと。親族や、お墓に、謝らないと」


「・・・お前らのうち誰がやったのかは分からねぇ。

調べりゃわかるだろうが、んなこたどうでもいいんでィ。


36人中、丁度お前らがやった10人は、もう何年も独り身だった。

身内もいなけりゃ生きる意味もないようなヤツらでィ」


「そんな言い方しないで、それでも、死ぬのは怖いんだよ。

私は怖かった。毒に殺されるのが怖かったのに、人に殺されるのが怖くないわけない」



あーだこーだと言い合いが続く。


総悟はきっと私を慰めてくれてて

でも私は、それを受け止められるほど癒えてない。


人を、なんの罪もない人を殺した罪悪感が、こんなに重いなんて。



「おいおい、なんの騒ぎだ、目覚めてそうそう喧嘩、か・・・」



大きな袋を腕にかけて病室に入ってきた土方さん。


私が床に座り込んでいるのを見て

総悟が怒っているのを見て、ため息をつく。



「土方さ・・・」



あれ?

大きな咳が出て、嗚咽。


また口から血か。


なんで?毒はもう回ってないんじゃ。



「おい、おま、点滴!総悟医者は!」


「今待ってんでさァ」


「とりあえずAベッドに運べ!」



もう、やだ。





36、痛い→←34、解毒剤



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あい(プロフ) - eight40094さん» コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー! (2021年2月9日 7時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
eight40094(プロフ) - あぁ、早く続きが見たいです!忙しいと思いますが、作者様頑張ってください! (2021年2月9日 3時) (レス) id: c00f201ead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年1月30日 23時

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