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34、解毒剤 ページ34






その後、外に連れ出された私は

もう敵が立てない状態にある状況を見た。


それから、万事屋が元気そうに立ってるのも。


良かった、と、珍しく優しい土方さんの腕の中で思う。

血塗れな姿を見られたくなくて

土方さんの上着を引っ張った。


当たり前のようにそこにいた救急車に乗せられ

色んな管が刺されて。


乗り込んでくれた近藤さんと総悟。


近藤さんの優しい手が私の頬を撫でてくれて

心底安心したんだ。


やっぱりあの席は、近藤さんの席だ。


私の大好きな手。



「・・・なんで、帰り、早くな、ったんですか」



まだ上手く呂律が回らないけれど

まだ寝るなよ、とでも言うように総悟が私の手をつねってるから

寝ないように話す。口を、動かさないと。



「今回の過激派攘夷浪士のトップは

Aちゃんに毒を持たせた女の人だったんだ。


こっちに向かったと連絡があって急いで帰ったら案の定、ね」


「は、は、なるほど、っはぁ」



また来る、と咄嗟に2人から顔を逸らした。


ゲボ、っと血が出て

ほんとに出血多量で死ぬんじゃねぇかと思う。


輸血もされてるし、多分もう大丈夫だけど。


2人の心配そうな表情がハッキリと見える。


そんな顔しないで。

さっきより、だいぶマシなんだよ。


って、そんな短い言葉も、今は長く感じて言葉にできない。


それでも、意識を保とうと努力する。



「解毒剤なんて、あった、ですか」


「毒ってのは作る時に解毒剤も作るもんでィ」



つまり、敵から奪い取ったと。


みんなが来たら、こんなにあっさり片付くのに。

私ってば役立たず。



「一般市民が、いたって・・・」


「・・・まだ身元特定は終わってないから、今は休んで」




解毒剤が回り始める時間になったのか、

何を基準にしているのか分からないけれど、


総悟の、私をつねる手が優しくなった。


それでもまだ心配なのか

今度は強いほどに私の手を握る。


なんか、可愛いな。

て、ふふ、と笑いがこぼれた。



「笑ってんじゃねぇよ。心配かけやがって。

・・・こんなんなりやがって」


「そご、最近、しんぱ、しょう、だね」


「そんなんじゃねぇよ。てめぇが余計な心配かけさせてるだけでィ」


「ごめ、ん、はぁ、ね、そ」


「寝ていいよ、ゆっくり休んで」



そういった近藤さんの言葉の後



「絶対、目ェ覚ませよ」



総悟の不器用な優しさが聞こえた気がした。



35、10人→←33、一筋縄



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あい(プロフ) - eight40094さん» コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー! (2021年2月9日 7時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
eight40094(プロフ) - あぁ、早く続きが見たいです!忙しいと思いますが、作者様頑張ってください! (2021年2月9日 3時) (レス) id: c00f201ead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年1月30日 23時

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