第百八十九話『倍ニシテ』 ページ32
本部に戻り素早く食事を済ませた。
服については来る途中で買い物をしたからワンピースで出勤しなくて良かった。
『……はぁ』
「如何しましたか、芥川さん」
『……否、何でもない』
美術館でとある組織との取り引きをして溜息を吐く。
首領の差し金か何故か芥川が取り引きの仕事が増えてきた。
頭を使うから嫌だと云っているのだが……
『……却説、本部に戻るぞ』
「はい」
黒服三人と共に美術館を出て前庭に足を踏み入れた時だ。
────パンッ!
不意に銃声が鳴った。
それと同時に芥川の羅生門が揺れる。
『……卑怯な』
黒服三人が芥川の前へと出る。
羅生門から弾丸がカランと落ちる。
『────倍にして返してやれ』
その瞬間、前庭は一瞬で戦場と化した。
『相手は九人か。ふむ、それにしても素晴らしい戦術だ』
人数はこちらが不利だ。
しかしマフィアの黒服は凄まじい訓練を受けてある。
いくら相手が戦いに慣れているミミックだろうが此方が劣る
筈がない。
『……しかしこの場での銃声は非常に似合わん』
取り引きの際に見たが、素晴らしい美術品が沢山あった
美術館の庭でこんな銃撃戦はあってはならない。
────シュンッ
芥川の右頬に銃弾が掠り、後ろの白亜の柱にめり込んだ。
『……羅生門』
呟いた瞬間、無数の黒い帯が蠢きミミック兵の心臓を貫く。
『……死にたいのは誰だ?』
地面から黒針が数
貫いていく。
『……数名は生け捕りにする。奥歯の毒と……』
その時だ、美術館の目の前にミミックの輸送トラックが現れ
中から新たなミミック兵が次々と出てきた。
『……ぐっ、次から次へと蛆虫のようにわらわらと』
面倒くさくなるぞ溜息を吐いた時だ。
輸送トラック付近から、
赤い尾を曳いて燐光が垂直に打ち上げられ地上の凡てのものに
影を作った。
『……っ?』
その途端、ミミックの動きが止まった。
しかも持っていた銃を地に置き、両手を挙げる者までいる。
「……あ、芥川さん」
「これは……?」
『……警戒を解くな』
黒服達は芥川へ視線を送り次の指示を待つ。
するとミミックの一団の向こうから、両手を挙げた男が一人
歩いてきたのだった。
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アニヲタ(プロフ) - 少し遅くなりましたが最近(?)20巻発売されましたね!私はもう…ショックが酷くて読んだ後一週間位病んでました笑更新再開ずっと気長に待ってます!無理の無いご自分のペースで書いてくださいね…!ずっとずっと待ってます! (2021年1月11日 22時) (レス) id: 71f36505fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» いえいえ、リクがありましたら可能な限り受け付けます。お時間が掛かるかもしれませんが、、、でっぷるは映画で一度見たきりなのであまり詳しく覚えてないです、、小説は友人に貸して帰ってこないんですよ笑 (2020年7月30日 3時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - 厭々!!!リク受けて下さるだけでも十分過ぎるのにぃ…マジで有難う御座います…!実は私もでっぷる編全く、これっぽちも知らんのですよねぇ...。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» コメントありがとうございます。でっぷる編ですが今、手元に小説がない状況でして書くことが出来ないんです、申し訳ないです、、、リク希望ありがとうございます。時間が掛かるかもしれませんが、受付致します。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - あのぅ…でっぷる編書くご予定はありますでしょうか…?若し無ければリクをしたいのですが… (2020年7月28日 14時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年3月16日 21時