第百六十話『小サナ期待ノ光』 ページ3
太「判ってるってば〜」
中「判ってるだァ?判ってンなら芥川に書類を押し付けねェだろうが」
太宰と中原は長い廊下を歩く
目的は勿論、芥川に逢うため
太「てか君さ、芥川君に近付かないでくれる?妙に彼の子、君に懐いてて厭なんだけど」
中「おーおー、幹部様が嫉妬か?こりゃいいなァ、手前を脅す材料が一つ増えたぜ」
太「あまり巫山戯ていると……ん?」
中「芥川じゃねェか。重い足取りでこっち来てるが大丈夫か、彼奴」
俯いていて顔がよく見えず心做しか顔色が悪いように見えた太宰と中原
太「芥川君?」
太宰の声にピクリと肩を揺らせて視線を上げた芥川
その目は焦りと不安と
………小さな期待の光だった
『太宰……さん……僕は……強くならなくては……』
太「……芥川君、君に異能の特訓をするのはまだ早い」
『は、早いなんてありません!僕は絶対に強くなってみせます!だから今日にでも……』
────パァンッ!と乾いた音が響く
中原は目を見開いて太宰と芥川を見ていた
太宰は無表情で自身の右手を見詰め、芥川は頬の痛みにやっと気づき押さえる
中「太宰……?」
太「君の目を見ていると虫唾が走る」
『……ッ』
中「お、おい!ンな云い方!」
太「要件はそれだけかい?ならさっさと書類を片付け給え」
あまりの冷たい態度と言葉に芥川も中原も上手く言葉が出てこない
芥川は、か細い声で返事をしてまだ痛む頬を押さえながら太宰達の横を通って行った
中「おい……太宰」
太「……」
名前を呼ばれた彼はまだ自分の右手を見ていた
悲しそうな、辛そうな表情を浮かべていた
太「……嫌われたかな」
中「……まァ、恐怖を植え付けたのは慥かじゃねェのか?」
中原はそう云い太宰を置いて歩いて行った
太宰はとある部屋へと足を進めた
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『……腫れてる』
数時間後、芥川はやっと太宰の書類を全て片付けていた
太宰に叩かれた頬に触れると痛む
『矢張り冷やせばよかったかな。迂闊だった……』
しかしどうしても理解ができない。何故彼の人は自分を叩いたのか。何か変なことでも云ったのだろうか?
『強くなりたいと意欲をみせたのがいけなかったのか?』
聞きたい、彼に自分のどこが悪かったのかを。しかし……
『……怖い』
芥川の脳内には塵を見るような目をした太宰が浮かび、恐怖でその場に蹲ったのだった
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第百六十一話『見当タラナイ』→←第百五十九話『タッタ二年シカナイ』
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アニヲタ(プロフ) - 少し遅くなりましたが最近(?)20巻発売されましたね!私はもう…ショックが酷くて読んだ後一週間位病んでました笑更新再開ずっと気長に待ってます!無理の無いご自分のペースで書いてくださいね…!ずっとずっと待ってます! (2021年1月11日 22時) (レス) id: 71f36505fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» いえいえ、リクがありましたら可能な限り受け付けます。お時間が掛かるかもしれませんが、、、でっぷるは映画で一度見たきりなのであまり詳しく覚えてないです、、小説は友人に貸して帰ってこないんですよ笑 (2020年7月30日 3時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - 厭々!!!リク受けて下さるだけでも十分過ぎるのにぃ…マジで有難う御座います…!実は私もでっぷる編全く、これっぽちも知らんのですよねぇ...。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» コメントありがとうございます。でっぷる編ですが今、手元に小説がない状況でして書くことが出来ないんです、申し訳ないです、、、リク希望ありがとうございます。時間が掛かるかもしれませんが、受付致します。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - あのぅ…でっぷる編書くご予定はありますでしょうか…?若し無ければリクをしたいのですが… (2020年7月28日 14時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年3月16日 21時