目覚め ページ10
「ッ…」
ふと意識が戻ってくる。
全身がまだズキズキと痛み、自分が重症を負っていることは容易に想像できた。
骨の何本が折れていることであろうか。
そんなことを考えていると、ふとそれとは別の何か柔らかい感覚に右腕が覆われていることに気が付いた。
なにか、もふもふとしているような…暖かいような…まるで、干したての布団のような、そんな優しい温もりが、そこにあった。
「何、だ…?」
目を開けば、そこに広がるのは知らない天井…いや、ここまでで見てきた質素ながら立派な石造りの天井だ。
恐らくここは魔王城の一室なのだろう。
(どこ、だ…?)
しかし、先ほどの戦いでこの城はかなり破壊してしまったはず。
なら、どこなのか。
そんなことを考えながら、その腕に伝わるもふもふの正体を確かめようとその目線を向ければ。
「…ぐぁ」
「あら、ようやく目覚めましたか…おはようございます」
そこにいたのは、自身の腕の上に寝っ転がりくつろぐフレアと、その鳴き声でこちらに気付いたらしいリーファであった。
「お、おう…?ここどこだ?」
「魔王城の仮眠室ですね」
「そ、そうか…」
未だ状況の飲み込めない東矢に、リーファが冷静に告げる。
「東矢さん、貴方、丸二日間ずっと気絶していましたよ…大丈夫ですか?」
「マジ…?そんなに俺寝てたのか…あぁ、まだ全身が痛むけど大丈夫だ」
「そうですか、骨折も特に見られないようなのでよかったです」
「そうか…ってん?」
と、ここで東矢が一つのことに気付く。
「…なぁ、二日もあれば気絶して動けない俺くらい簡単に始末できたんだろ?何故そうしなかった?」
当然の疑問である。
相手は魔王、そしてこちらはそれに立ち向かう勇者である。
こんな莫大過ぎる隙を晒しているのにも関わらず、止めを刺さなかったどころか看護までするというのがよくわからない、が。
帰ってきたのは。
「…?貴方を殺す理由が私たちにはないのですが…何故貴方を殺す必要が?」
「…???」
再び混乱状態に陥る東矢であった。
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クロロフィル@リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2023年1月14日 20時) (レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2022年12月29日 21時