初仕事 ページ23
「…んで、だ。とりあえず仕事を命じるわ」
一瞬にして仕事モードへと切り替えた魔王の言葉を聞き、自然と背筋が伸びる。
「…ダンジョンの罠の点検を行ってきてくれ。場所はここだ」
「はぁ…」
渡された地図を見るに、割と近めの高レベル帯ダンジョンらしい。
確かそこは拘束系や転移系の罠が多く張り巡らされており、非常に苦戦した覚えがある。
「頼んだぞ、浮いてるアンタだから頼んだんだ」
「…わかった、行ってくる」
「頑張れよー」
城を抜け、ダンジョンまで一直線に飛ぶ。
渡されたよくわからないネックレスを付けていると、何故かは知らないが魔物から襲われない。
仲間だとでも思い込ませる類の魔道だろうか。
「変なの…」
そう考えるうちにその入り口が見えてきたので早速中へと入る。
すると一頭のオーク、いや、その上位種のグレイトオークが声をかけてきた。
「お、アンタが新入りかい?」
「あぁ、まぁ」
「頼むぜ、オイラ達じゃ満足に点検できないんだ。ほれ、これが道具だ」
渡されたのは、探知機の仕事を行う魔道具。
東矢の仕事はこれで管理の行き届かない天井や床などの罠を点検することだ。
この道具、オシストの特別製らしく、罠の探知が出来るだけでなくその罠が今正常に稼働しているかを確かめられる仕組みになっているらしい。
「いつもは飛んでる連中がやってくれるんだけどな、今みーんな怪我しちまってんだ」
「あぁ、成程…それで俺に白羽の矢が立ったと」
納得したところで装置を起動し、罠の位置が照らし出される。
そしてそこに魔道具を近づければ正常かどうかを知ることが出来る。
「…あぁ、これは普通なんだな」
その魔石が青く輝く。
きっとこれが大丈夫というサインなのだろう。
そうして暫く確かめたところで、少し違う反応が返ってきた。
「…?青と赤の点滅…?」
ある罠にあてた瞬間、青と赤の光が交互にそこを照らす。
試しに触れてみれば、僅かだが罠の発動までにタイムラグが生じている。
「…劣化しちまってんのか、成程な…」
その後もいくつか劣化した罠が見つかったが、完全に壊れているものは見つからなかった。
とりあえず報告書を書いて仕事は終わりだ。
「助かったぜ、あんがとな」
渡されたそれは、3枚の金貨。
「えっ…こんなにか」
「おう、魔族の仕事、特にダンジョン系列は危険だからその分賃金が高いんだよ」
金貨三枚もあれば、一ヶ月は満足に食べていける。
「…あれ、もしかして相当な当たり企業かこれ…?」
その破格の給料に戦慄しつつも戻っていく東矢であった。
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クロロフィル@リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2023年1月14日 20時) (レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2022年12月29日 21時