魔王の心 ページ18
…時間は過ぎて、昼飯時。
「東矢さん…は、いますね」
「お、リーファ?どうしたんだ」
「昼食の用意が出来ましたので、呼びに参りました」
「お、おう…」
ここの主は敵にさえ料理を振る舞うのかと驚嘆してしまうが、即座にそれも当たり前かもしれないと思い直した。
取り合えず素直に案内された先は、数多くのテーブルが立ち並ぶ会食堂。
「…これは…?」
「うちの城独自のシステムだと。好きなもんを好きなだけ取って食えるバイキング方式。どれもこれも結構美味いぜ」
そう返したのは巧だった。
「あ、これ取りに行っていいのか…?」
「かまへんかまへん」
「…キャラどうしたんだよお前…」
相変わらず自由な巧を置いて、盆を手に取る。
横へと流れていきながら皿に好きな料理を乗せていくらしい。
「…卵焼き、焼きそば、ハンバーグ、肉野菜炒め、サラダ…」
見れば見るほど料理が多い。
一体これ程の量を何人で作っているのかとふと工房を覗き見れば。
「…マー、ルド…!?」
「ん?あぁ東矢、アンタか。ばっちり食えよー」
「東矢さんですか…しっかり食べてくださいね」
そこに立っていたのは、マールドとオシストの二人だけであった。
たった二人だけで膨大な数の調理を捌いていく姿はその量を感じさせない程スムーズであり、何故二人だけで回っているのかが不思議でならない。
気になりすぎるがひとまず腹ごしらえが優先だと思い直し、取り終えたところで席に着く。
「どうだ、美味そうだろ?」
「…まぁな」
そういって向かいの席に巧が座ってきた。
「…食うか」
フォークを突き刺し、その卵焼きを口に運ぶ。
口内に放り込み、咀嚼した瞬間だった。
「…!?」
東矢の口いっぱいに、えも言えぬ旨味が広がった。
程よく柔らかく、しかし生ではない。
きちんと火が通っているにも関わらずふんわりとしており、味もしっかりとついている。
今まで食べたこともない味だった。
「…!?…!?」
「おい泣くほどか!?泣くほど美味かったのか!?」
自然と涙が零れ落ちていることに、暫く東矢は気付かなった。
それほどまでに、初めて食べたマールド達の食事に衝撃を受けていたのであった。
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クロロフィル@リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2023年1月14日 20時) (レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2022年12月29日 21時