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12,アーヤの励まし ページ15





チラチラと聞こえる、皆の声。


クラクラする頭を支え、
意識を窓の外へ向けた。



過ぎ去る景色。


途端、心地良いものに包まれて、
私は、意識を手放した………。







「ん………。」


「起きたか?」



心配そうな顔で、こちらを見てくるのは、



「和、典………?」


「ん?」



柔らかい表情。


いつもよりも、近い距離。



「え………。」



もしかして、もしかしてだけど………。



「和典………。」


「!?べ、別に、お前の寝顔なんて、

見てねーからな!!」


「和典………。」



目の端を朱色に染めて、
ツンと、目をそらす。

可愛いなぁ、なんて。
絶対怒られる。



「…目的地、行きてーんだけど。」


「あ、うん。行こっか。」



今の目的は、北原美麗の病室に行くこと。


さっき止まったらしい駅まで歩き、
電車に乗った。


電車に乗ってから、和典が話し出す。



「俺、立花と話した。」


「うん。」


「………助けたい、だって。」


「!」


「でも、助けらんねーんだ。


もう………もう、終わったからな。」



和典は、自嘲気味に笑う。



「そしたらさ、あいつ何て言ったと思う?」


「?」



目を閉じて、考える仕草をする。


その薄い唇から、声が漏れた。



「間違いに気付いたら、


その時やり直すしかない、


だってよ。」



私は、軽く息を飲む。



「んなこと、考えたことなかったし。


俺、思考範囲狭いからさ。


励まされたかな。」


「そっか。」



キュッと、胸が疼く。


優しく細められた瞳。


ああ、和典はほんとに、アーヤが………。



「和典、一緒に、乗り越えよ。


いつだって、側にいたいと思ってる。」


「っ。」



あなたが、例え私をどうとも思わなくても。


あなたの目が、他の子に向いていても。


あなたの想いが、その子に届いても。


届かなくても。






私は、あなたの隣にいたいと、


そう望みます。



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エイミー - 杏花莉さん» 「消えた美少女は知っている」にアクセスが許可できません・・・ということなので、ログインしていないものから返信させて頂きます・・・。伝わりましたか!良かったです♪私も上杉くん大好きです!コメントありがとうございました! (2016年12月26日 9時) (レス) id: 6aadb72d51 (このIDを非表示/違反報告)
エイミー - なーさん» 「消えた美少女は知っている」にアクセスが許可できません・・・ということなので、ログインしていないものから返信させて頂きます・・・。ありがとうございます!頑張ります♪ (2016年12月26日 9時) (レス) id: 6aadb72d51 (このIDを非表示/違反報告)
杏花莉 - 花鈴ちゃんの切ない気持ちがこっちにまで伝わってきました!番外編で上杉君と両想いになれたときはホッとしました!ちなみに私は上杉君推しです! (2016年8月3日 0時) (レス) id: 154f442b08 (このIDを非表示/違反報告)
なー - とても面白かったです!これからも頑張って下さい!絶対見ます(*^^*ゞ (2016年6月21日 21時) (レス) id: 20b5ed2b90 (このIDを非表示/違反報告)
エイミー(プロフ) - えいみさん、ありがとうございます☆KZ、面白いですよね♪私は俄然、上杉くん押しです(笑)これからよろしくお願いします! (2015年12月30日 13時) (レス) id: c472ba4c17 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エイミー x他1人 | 作成日時:2015年12月7日 22時

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