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「ち、ちわっす……」
「おん。」
北さんの手元を見ると、買ったであろうスーパーの袋。おつかいでも行ってたんやろか。
「お前はおつかい……ではなさそうやな。」
「あ、はい…」
やべぇ、めっちゃ怖い…
こんな所で北さんと会ってしまうとか最悪や。絶対天罰下ったやつやん。
北さんは俺の横に座り、がさがさと袋から何かを出す。
待ってこれ説教タイムか?俺正論パンチくらうんか?
「ほい。」
差し出されたのはほっとレモン。いや風邪は引いとらんねんけど。
「……俺今財布持ってないです。」
「あほ、あげるって意味や。」
「あ、あざっす…。」
俺何かしたっけ…。
不安が募り、今日の部活を振り返る。
「あれか、Aと喧嘩か。」
「えっ!?」
ドンピシャに当てられて、思わず声が大きくなった。
「当たりかい。」
「てか北さんAのこと知っとるんですね…」
「まぁ何回か会ったことあるしな。」
やべ、あいつのことやから俺の悪いところ暴露してそうやな……
「Aは何やお前と似とるわ。」
「えっ、」
「まぁお前よりは大人やけどな。」
「うぐっ……」
やばい、怖い。目怖い。
「負けず嫌いなとことか、何か夢中になるモンには真っ直ぐ向き合うとことか。」
北さんは俺を見てフッと笑う。今、笑たよな……?
「Aにしかないええとこもあるし、侑にしかないええとこもある。
せやけどAは全部お前ら双子と比べる癖があんねんな。」
「………」
"どうせ言ったって兄ちゃんらには敵わんし。"
あの時のAの言葉が脳裏に浮かぶ。
「…嫌やったんです。
ずっとライバルや思っとったのに、気がつけば勝手に諦めてどうせ俺らが上みたいな言い方されたんが。」
せや、あんなこと言われたんが俺は1番嫌やったねん。
やから俺はあいつに中途半端って言うてもーた。
そんなん言うってことは、どこかで無理やってあいつは思っとったってことやろ?
「でも、………Aもその……き、北さんと似とるっていうか……」
「俺に?」
あかん、めっちゃこっち見るやん!!
言うたらあかんもんまで言うてしまいそうや!!
「そのっ……バレー一筋やなくて……べ、勉強もちゃんとやっとるし……」
「…!」
すると北さんは急に笑いだした。
待って怖すぎ……俺今日メンタル強化日やん……。
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時