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侑side




Aが俺をキツく睨む。


こうなったんはほぼほぼ自分のせいってことぐらい言われんでもわかるわ。




「すまんA、」


『気にしとらんって言うたら嘘なるけど…、まぁ大丈夫。ありがと治。』



いつの間にかサムとAは自然と話すようにもなっていた。



サムは俺と違って誰に対しても優しいっちゃ優しい。俺を除いては。





「………寝る。」



「ちょ、おいツム」


Aの横を通り過ぎて部屋に戻ろうとしたが、Aの言葉に足を止める。






『私は中途半端な気持ちでやってきたつもりはないから。


中途半端でやっとったらとっくにバレーなんか辞めとる。』




「……で?」




『ッ!』




「それを俺に言うて何になんねん。」






あぁ、あかん。





「そんな事言うためにずっと俺ら避けとったんか。」





やめろ、それ以上喋んなクソ。





『…私の気持ちも知らんくせに、』



「知らんし、知る気もないわアホ。」



「ツム!!」






「そんなんでバレー続けられても迷惑や。」





『ッ!!』






その瞬間、頬に鋭い痛みが走る。


あぁ、またやらかした。





「A…」



『侑なんか……侑なんか、大っ嫌いや。』



「……」





じっとAを見ると、びくっと肩を跳ねて俺を睨み返す。


目は潤んでいて、多分泣くの我慢しとるんやろうな。





「……別にええよ。」



『……!』



「俺の性格散々知っとるんやから、嫌なら喋りかけてくんなや。」




そう吐き捨てて、俺は部屋に戻るどころか向かっていたのは玄関で。


気がつけば勝手にドアを開けていた。




不思議と感情的ってわけでもなく、妙に冷静やった。







ごめんな、A。



人の性格ってそう簡単には変えられへんみたいや。






.



Aside



『……またムキになって、ぶってもーた…』



「A、大丈夫か?」



『何やわからんけど、あんま気分重ないわ。』



心配そうに私の顔を覗く治。




「代わりに謝らせてや、ごめん。」



『別に治悪ないし。まぁ、確かに……誰が悪いんやろ。』



「いやどう考えてもツムやろ。あの言い方は…あーもうホンマに…勝手に家は出るし…」



『あ、追わんくて大丈夫かな。』




お母さんは今お風呂入っとるし、どうしよう。




「どうせすぐ帰ってくるわ。」



『……そっか。』



何となくやけど、さっきの侑の声には


どこか寂しさを感じた。




.

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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時

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