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あれからバス停まで北さんは送ってくれた。どこまで紳士なんだほんとに……
『…ただいま。』
時計を見ると、6時半。
リビングに入ると、おかえりと明るいお母さんの声。
だけじゃなく
「あ、A。」
「……」
テレビを見ているお兄ちゃん達がおった。
『…た、ただいま…』
治とは何日か前に少し話したけど、やっぱり気は重くなる。
侑は私を一目見ると、不機嫌そうにテレビに目を戻した。何やねん。
「どこ行っとったん?」
『え、友達の…家、やけど…』
バレないために誤魔化してはいるが、嘘をついてることに罪悪感はあった。
自分自身、嘘がつかれへんタイプやから隠すのに結構必死でもある。
「ええ友達出来たんやな。」
おにぎりを食べながら治は私のほうをじっと見る。
『……まぁ、うん。』
「中学一緒の人とか?」
『いや、高校入ってから…』
やばい、何か嫌な感じや。
普通入学してちょっと経って友達の家に行くか?
いや多分ない、高校なんて色んなとこから来とる人おんのに。
私の心を見ようとしてる治の声に、鼓動が早くなる。
『…ふ、風呂入ってくる、』
これ以上ここにおると何やバレてしまいそうで、私は慌てて風呂場に直行した。
.
治side
「A、ちゃんと友達出来てそうで良かったなぁ。」
「知るかあんなん。どうせすぐ喧嘩するやろ。」
「中学ん時嫌われとったお前に言われたないわ。」
「はぁ!?」
「そもそもお前があん時酷いこと言うたからAはバレーも俺らも嫌いになったんちゃうんか。」
" 中途半端 "
俺もあんま好きやないけど、ツムとAは特にこの言葉を嫌う。
「俺の言葉1つや2つでバレー嫌いになったんなら、それまでやったって事やないんか。」
「せやけど言い方ってもんがあるやろ。」
うっ…、と難しそうな顔をするツム。
まぁ、俺もあん時何も言えんかったから一緒やねんけどな。
「いくら自分が本気でやっとったって、結果が全てや。ポンコツはポンコツやねん。」
ピリ、といつもより低いツムの声に一瞬、一瞬やけど怖いと感じた。
ツムはたまに怖い時がある。それは中学の時もそうやった。
『ポンコツなんて自分が1番わかっとんねん。』
「!?」
慌てて後ろを振り返ると、風呂上がりのAがおった。
ツムとAはお互い目付きを鋭くして睨み合った。
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時