名前。【北 信介】

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お婆ちゃんの言うたええもん。




それは




『可愛すぎる……目くりっくりや……』


「ふふ、せやろぉ。こん時の信ちゃんはちょっと泣き虫やってん。」


『え！？そうなんですか…？あ、ほんまやこの写真涙浮かべとる…』




そう、北さんの幼少期のアルバムである。


私なんかが勝手に北さんの幼少期にふれて大丈夫なんやろか…




『わ、めっちゃ笑てる……可愛ええ……』



今見とるのは、家の庭で線香花火をしとるちっちゃい北さん。



楽しそうに線香花火を眺めてる目はくりくりしてて可愛い。



浴衣めっちゃ似合うとる…美少年ってこのことなんやろなぁ←




『この時からかっこよかったんですね…』



「ふふ、Aちゃんの小さい頃の写真見てみたいわぁ。」



『えっ、うーん…。ちょっと家で探してみます。』



そう言うと、お婆ちゃんは嬉しそうにニコニコと笑った。





それから1時間位、お婆ちゃんとアルバムを見て棚に戻した直後





ガラガラと、玄関の扉が開いた。




.





「ただいま。」



靴を脱ぐ北さんに、たたっと駆け寄る。




「お、A。」



『おかえりなさい、信介さん。』



「えっ」








『………あ、』






しまった。お婆ちゃんの前やったからつい信介さんなんて呼んどったけど、本人の前ではいつも北さんやった…





『あ、いやっ、えっと北さんすみませんつい…その…』



慌てて言葉を出すと、北さんは黙ったまま私をじっと見る。




『あの、き、北さん…？』








「何や奥さんみたいやな。」








『……ひぇ、』


ボンッと顔から湯気が出る音がした。いや実際は出てないけど。


そんな私を可笑しそうに声をあげて笑う北さん。





「はは、A顔真っ赤やで。」



『！だって北さんが…』




「信介でええよ。寧ろそっちの方がええ。」





ふわっと微笑む彼の表情に、心臓がどくんと跳ねる。



……何やずるいわ。





「せや、A。ちょっとだけせーへん？」



『え？何をですか？』




がさがさとエナメルバッグから現れたのは





久々に見るバレーボール。







「ちょっとだけバレーやろうや。」









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