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『行ってきます、』
7時半。いつもの様に靴紐を結んで、扉に手をかける。
「A、」
お母さんが不安気に私に話しかけるなんて、大体バレーが双子のこと。
「マネージャーもやらんの?」
『だからやらないってば。私が入ったら余計あいつら拗らすで?』
ははっと笑って、お母さんの返事を聞かずに私は扉を開けた。
.
高校生になって2週間。
妹だから仕方ないけど、クラスメートからは双子のことをめちゃめちゃ聞かれる。
友達は、弓道部の早苗ちゃん、バスケ部の渚ちゃん。
2人には兄ちゃんらのことを打ち明けると、優しく受け止めてくれた。
しかもこの2人めっちゃおもろいねん。良い友達を持ったなぁ。
ちなみに私は文芸部。
本は嫌いじゃないし寧ろ好き。バレーのことを忘れられるから。あと勉強出来るし。
何故か部員が私しかおらんくて、図書室の鍵は常に私が持っている。謎やし、大丈夫か??
『こんちゃーっす…』
ガラッと図書室のドアを開けると、3年生だろうか凛とした男の人がいた。
『あっ、もしかして返却ですか?すみません、ちょっと待ってくださいねッ、』
放課後に図書室に来る人は滅多に居らんから、びっくりしたぁ…。
「ありがとう。もしかして1年生か?」
『えっ、あ、はい。』
「しっかりしとるなぁ、あいつらとは大違いや。」
『あ、あいつら…?』
その人はキョトン、と首を傾げて私を見つめる。
「あれ、自分Aちゃんやなかったっけ?侑と治の妹の。」
ひやっとした。まさかクラスメートじゃない人に名前を知られていたとは。
『え、あ、まぁそうですけど……名前なんか知らんでも双子の妹って言えばわかるのに。』
何言うてんねん、と少しムッとした口調で彼は言った。
「そんなん名前ちゃうやん、ちゃんとAって素敵な名前あんのに。」
『え、』
「あ、自己紹介遅れたな。知ってるかもしれんけど、北 信介言うねん。男子バレー部の主将させてもろてます。」
まさか男バレキャプテンとは…。あー、だから侑と治ね。道理で私の名前知ってるわけだ…
『あ、えっと宮 Aです。いつもうちの双子が迷惑かけとると思いますが、すみません。』
「礼儀正しくてええ子や。」
北さんはフッと笑って、私の頭を撫でる。
『北さんって変な人ですね。』
「変て言われるのは初めてやなぁ。」
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時