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『ただいま。』


パタン、と扉を閉めて靴を脱いで端っこに揃える。

侑のかな?散らかっていたスニーカーも一緒に揃える。



リビングに入ると、キッチンにいたお母さんが振り返って微笑む。


「おかえり〜。」



『ただいま。お兄ちゃん達はお風呂?』



「もうそろそろあがると思うで。」



『そっか。』




お母さんは食器を洗っていた。よく見ると、指が少し割れていて痛々しい。




『手伝うよ。』



「えっ?ええよええよ。」



『いいから。指めっちゃ赤いし割れとる。お母さんはちょっと休憩しとって。』



ブラウスの袖をめくって、お母さんが洗いかけていたお皿をとる。





「A、今日言ってた友達ってもしかして北さん?」



『えっ!?』



うしし、と笑うお母さんにじんわりと額に汗が滲む。




「顔真っ赤やで。心配せんでも、侑と治には言わんよ。」



ほんまにお母さんは何でもお見通し。



『色々私生活話してたら不健康やって怒られちゃって…。やっぱ、ご飯はちゃんと食べなあかんな。』


「ほんまやで〜部屋まで持って行く言うとんのにAいらん言うから。」


『……うっ、ごめん。でも、もういいよ。』



「え?」


『ちゃんと、ここで食べるようにする。』




お母さんは目を見開いて、ぱちぱちと瞬きをする。

そして、嬉しそうに笑った。




『でも、お兄ちゃんらとは一緒に食べたない。』



「何言うとんの、喧嘩してでも食べなさい。」



『えぇ…そんな無茶な…』




「治が寂しがっとんで?」



『え、何で?』



洗ったお皿をお母さんに渡す。

受け取ったお皿を拭きながら、お母さんは話し出した。




「Aは晩飯食わんの?って最近よう聞いてくるから。」



『嘘…』



何でや?

治の思ってることがよーわからん。



「Aはさ、去年のあのことがあってからあの2人に関わりたないと思ってるんやろうけど、侑はまぁ…せやなあいつはあかんか…」



あかんのかい。いやまぁ何となくわかっとったけど。



「でも、治はAのこと心配しとる。たまには喋ってあげたら?」




その時、バタン、とお風呂場のドアが開いた音と共にお兄ちゃんらの声がして慌てて鞄を持つ。




『まぁ…気が向いたら話してあげなくもない。』


「ほんまそこは侑と似とるよな。」


『や、やめてや〜…』



慌てて階段を上って部屋へ行った。




.

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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時

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