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昇降口のところで10分ちょい本を読んでいると、北さんの声がした。
ちょっと息切れてる、もしかして走ってきてくれたんかな…
他の人はまだ来とらんし、幸い兄ちゃん達の姿も見ていない。
「すまんな、お待たせ。」
『い、いえっ!それよりも、北さんは良かったんですか?』
「え、何が?」
『その…部員の人と帰らなくても…』
普通部員と一緒に帰るのが定番だと思うんやけど、ふと思ったので勢いで聞いてしまった。
「あぁ、全然平気やで。何か知らんけど皆俺と帰るとえらい緊張しとるし。」
何でやろ、と首を傾げる様子が何だか可愛らしくて頬が緩む。
ていうか、これ天然でしてるのがまた…
『北さんのしっかりしてるところに皆緊張しとるんやないですか?私にはわかりませんけど、』
「しっかりするって当たり前のことやないん?」
『私もそれは同感ですけど、周りの人はそれが当たり前と思いにくいんとちゃいますか?現に侑と治はしっかりしとらんし。』
「あいつらやる時はやるねんけどなぁ。」
『ははっ、確かに。』
会話が終わったと思ったら、何やら視線を感じる。
北さんがじーっと私を見つめていたから。
『えっと、北さん…?』
「Aは、あの双子の妹やのに全然似とらんな。」
『は?』
双子の妹って言われて、思わず口が悪くなってしまった。
「あぁ、すまん。別に悪気は無いねん。あの2人と同じ血流れとるのに、ちゃんとしとるし不思議というか新鮮というか…」
『あはは、何やそういうことですか。別にそんな褒められることちゃいますよ。
……私には、ただやらなあかん事をちゃんとやることしか出来ひんから。』
「………」
やばっ、つい本音漏らしてもーた。
こんなん北さんが聞いても何もならんのに…。
「ならバレーはちゃんとやれんかったん?」
『えっ、?』
冗談で聞いとるんかなと思って北さんの方を見たら、彼の目はえらい真剣や。
「バレーはちゃんと出来ひんかったから辞めたん?」
『…ッ!!』
ちゃうよ。
勉強と同じくらい真面目にやって
お兄ちゃんらに負けんくらい努力やってした。
『やってた…ちゃんとやった…周りの人がめんどくさいと思ってることも、侑らがサボってた勉強も、……。』
あかんて、思い出したらあかんよ。
頑張っても、目の前には上におるお兄ちゃんらがおるって
思い出してまうやん。
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時