少しの間の ページ42
『…一昨日、帰りの電車で侑くん達寝てる時にね、思い切って倫太郎くんに聞いたの。好きな人はいるかって…』
「うん。」
『いるって言うからさ、今思えばその時にダメ元でも好きって言えば良かったって思うねん…でも私こんなんやから……倫太郎くんに好きな人はおらんの?って聞かれた時…おらんって言っちゃって……ッ、』
「うん。」
『わかっとんねん。詩春ちゃんと清良ちゃんにもいつも話聞いてくれてたから、そろそろ言わなあかんて……でも、結局振られるん怖いからって、…ッッ…ずっと、ッ、ずっと逃げて……ッうぅ…』
じわじわと涙が溜まっては零れる。侑くんの前なのに情けない。きっと彼は呆れているだろう。
でも降ってきたのは、優しくて落ち着きのある温かい言葉。
「怖かったねんな。」
『ッッ、ごめん、こんな…侑くんの前で、…』
「ええねん。謝りたいのは俺の方やねんな。」
『えっ、?』
「インハイ終わった時、俺角名に半分本気やったけどなってからかったん覚えとる?」
『あっ、…』
そういえば。あの時やけに角名くん怒ってたような…
「あれほんまやってん。今しか言えへんからごめんな?」
「俺Aちゃんのこと何やかんや好きやったみたいやわ。」
侑くんは寂しそうに、だけど優しくて温かみのある笑顔を私に向けた。
彼の表情を見て、また涙がぽろぽろと零れる。
『ごめん、ごめんなさいッッ…涙止まらんくて…、』
「あーもう、何でAちゃんが謝んねん。俺がさっさと言えば良かっただけや。」
そんなゴシゴシ擦ったら部活で角名にどつかれてまうわ、と綺麗な彼の指が私の涙をふいてくれる。
「でもせやなぁ。一つだけ我儘言うとしたら、ちゃんと角名と話してほしいな。」
『うっ…で、でも…』
「あーもう!お前ら2人ほんまに何なん!!ウブにも程があるわ!!」
急に大声を出して怒る侑くん。驚きのあまり、涙も引っ込んだ。
「ちゃんと今日部活終わったら話すんやで?」
『…ど、努力はします…。』
「めっちゃ素直に言うやん…まぁええわ。……でもな、」
侑くんに優しく引き寄せられて、後頭部に彼の手が添えられる。
「最初で最後やけど、少しだけこうさせて?」
『…、うんッ。』
暫く経ってお互いの顔を見ると
目元がほんのり赤く腫れていて
何故かわからないけど
思わず声を上げて笑った。
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麻呂ましゅ(プロフ) - 宮侑イケメン過ぎて今度は侑の小説見たくなっちゃったー( ߹꒳߹ ) (11月15日 7時) (レス) @page47 id: e05060289a (このIDを非表示/違反報告)
なっちち(プロフ) - 久々にキュンキュンきました(*´ω`*) (2021年2月7日 4時) (レス) id: 5d60cec675 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 気づいたらニマニマしてました……とても良い作品ですね(*´ `) (2020年5月18日 22時) (レス) id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ - 可愛すぎるってぇぇぇぇ!やばい!讀みながらひとりで騒いでたわ (2020年4月12日 16時) (レス) id: 767cede04a (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 更新お疲れ様です!続きがすごく楽しみです!!応援してます!! (2020年4月7日 1時) (レス) id: f894f75d5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年3月11日 10時