不機嫌と香り ページ29
角名side
『今日の記録見る？』
「見る！！」
侑がAの元へ駆け寄り、まじまじとノートを覗き込んでいる。距離近すぎくっつくな。
自分でもわかっているけど、今すごく機嫌が悪い。
治がお腹空いている時の気持ちが今ならわかる気がする。
「何や俺の顔じっと見て。惚れたんか？」
誰がお前の顔に惚れるかこの性格クズ野郎。Aとそんな近距離で話すな。
段々イライラが募るのを感じて、サーブ練に戻る。
が、完全に感情任せで打ち込んでしまい、ほぼ全部アウトになった。
「…チッ」
((角名が舌打ちしとる…ますます今日はやばい…))
これ以上してると、悪い癖がつきそうで一旦休憩をとるためスポドリを飲みに行く。
「ッ、!」
しまった。普段ならここまで我武者羅に自主練をすることは無かったから、体の負担がいつもよりかなり大きい。
ぐらっと目眩がしたが、慌てて体勢を取り直し壁にもたれて座り込む。
(うわぁ、これ家帰ったら即寝落ちだな。)
ため息をつきながら、ドリンクを飲むと嫌な睡魔が襲ってくる。
(え、待って流石にやばい。)
段々と視界がぼやけて、そこでプツリと糸が切れた音がした。
.
……くん、……ろ…ん……、りん……ろく…
どこかで俺を呼んでるのか声が聞こえる。
重い瞼をゆっくりと上げた。
『大丈夫…！？』
「え、」
待って、寝てた。今何時と慌てて体を起こす。
『大丈夫だよ、今自主練切り上げたところだから。』
Aが微笑んでコートを見ると、死体のように倒れている双子と銀。
『ちょっとごめんね、』
「えっ？」
額にひんやりと冷たい感覚。
一気に近くなるAとの距離。
『んー…熱はないかな、』
Aは左手に自分の額、右手は俺の額をあてていた。
やばい、余計熱くなりそう。
『けど、あれだけ動いてたら疲れるよね…しんどいの気づかなくてごめんね…。』
「あっ、いや、別に俺が…」
「陸奥！片付けしていいかー？」
『あ！銀島くん大丈夫だよ！』
Aは、ぱっと俺の額から手を離し、着ていたジャージを脱ぎ出す。えっ？
『倫太郎くんはここで休憩しててね？』
そう言って、俺に自分のジャージをまるで布団のように優しくかけ、コートに行った。
じっとAのジャージを見つめる。
(やば、めっちゃ…良い匂い……)
さっきまで溢れ出る位積もってた不機嫌は
ジャージから香るAの匂いで
浄化された気分だった。
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麻呂ましゅ(プロフ) - 宮侑イケメン過ぎて今度は侑の小説見たくなっちゃったー( ߹꒳߹ ) (11月15日 7時) (
レス) @page47 id: e05060289a (このIDを非表示/違反報告)
なっちち(プロフ) - 久々にキュンキュンきました(*´ω｀*) (2021年2月7日 4時) (レス) id: 5d60cec675 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 気づいたらニマニマしてました……とても良い作品ですね(*´ `) (2020年5月18日 22時) (レス) id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ - 可愛すぎるってぇぇぇぇ!やばい！讀みながらひとりで騒いでたわ (2020年4月12日 16時) (レス) id: 767cede04a (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 更新お疲れ様です！続きがすごく楽しみです！！応援してます！！ (2020年4月7日 1時) (レス) id: f894f75d5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にろ
| 作成日時：2020年3月11日 10時
