21.榊 三葉のオレ ─ side 九井 ページ21
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ほかの何にも変え難いような、そうでも無いような、そんな感じだった。
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別に仕事は終わっていたし、急ぎの仕事があるわけでもなかった。それでも仕事場に残っていたのは
もしかしたら連絡が来るんじゃないかっていう期待なのか、願いなのか、そんなのは分からなかった。
でもオレからはまだ縋らないと決めていた。
オレの番じゃない、オレはまだ、縋らない。
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鳴り響いた電子音、ディスプレイに映し出された文字列は、確かに彼女の望んだものだった。
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わざわざ、幹部たちとの連絡用と部下たちへの連絡用と取引先との連絡用、個人所有とはさらに別の端末。
こんなあっても意味ねぇよ、なんて思っても、手放さないのがオレなのだから。
このまんまでいったら、文句言われるな、今から服屋に行くか。
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竜胆「ここのーい、今日この後暇?あのさ」
九井「悪いけど暇じゃねぇし、オレは今から九井一じゃねぇよ。」
竜胆「出たよ契約、…………ほんとーにそれでいいわけ?」
九井「互いのための、契約関係なだけだ。じゃーな、」
竜胆「ばーか、元の世界に未練がある女といたら、元の世界にお前が、帰りたくなったらどうすんだよ。」
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その言葉に、ピタッと足を止めては、すれ違って、少し歩いての少しの距離。振り向いたのなら、クラゲを揺らしながらの彼を見る。
相変わらず腹立たしい、だなんて考えてしまう。
天竺からそうだったかもしれない。
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竜胆「オレは忠告したからな、じゃーな、榊三葉くん?」
九井「っせぇ、」
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そうやって吐き捨てて、車に乗り込んでから考えた。
高級車でも文句言われるだろうな、なんて思えば、わざわざ平凡で大したことの無いような車を手配する。
演じるなら、完璧にやってやらないと
じゃないと、オレの番の時、同じように完璧やってもらえないだろう。
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九井「めんどくせぇ」
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そうやってめんどくさいと思うくせに、契約関係だからという理由をつけては、行動するだけだった。
オレは、九井一だけど今から、榊三葉になる。
それは、オレが決めた契約関係だから。
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単純だろ?
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ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時