硬貨37枚 ページ38
『…女王サマ忙しいんでしょ、こんなヤツとお話しててもいいの？』
リドル「何だか今日は元気が無いね。何かあったのかい？」
『どんなバカにだってこういう日はあるよ』
リドル「馬鹿はテスト終わった直後に勉強なんかしないだろう」
リドルがAのノートに視線を落とす。
恐らく次のテスト範囲だと伺える。
範囲発表どころか授業で習ってもいないのに。
普段から不真面目な風に振る舞うのに、既に予習が終わっているだなんて考えられない。
もっと真面目に生きていれば、今のように落ち着いた彼でいれば、今より何倍もいい関係を築けていたかもしれない。
『勉強しなきゃ質問もできないでしょ』
リドル「…キミが勉強する理由は何だ」
純粋に知りたかった。何故そうまでして勉学に励むのか。
失礼だが、Aの家庭が自分のように厳しいとは思えない。
以前、"今日を生きるのに必死"という旨を話していた。未来を見据えているようにも見えない。
リドルが答えを待っていると、Aは屈託のない笑みを浮かべた。___否、貼り付けた。
『バカは秀才になんかなれない。いつか絶対にボロが出る。でも秀才はいつにだってバカになれるんだよ。知識と共に器用さを学ぶからね！』
"スペードサマが典型的な例かも"と軽快に笑う。
確かにそうだ、と納得。優等生に見えても、不良の血が垣間見えることもある。
『あとは普通に勉強が好きかなぁ』
リドル「勉強が好きだなんて中々いないよ」
『そりゃ義務教育受けてないも〜ん』
リドル「…それでこの学力なのかい！？」
『色んな知識が交錯しないから逆に身につくんだよ』
言うなれば小学生のような状態。
そもそもの知識が皆無に等しいため、どれも初めてで頭に入りやすい。余分な知識が無いのだ。
まともに教育も受けられない、身体を売ってまで金稼ぎをせねばならない。
そんな貧しい様子が伺えるAに、リドルは心の底から同情をした。
遠くから足音と話し声がする。
リドルの数少ない優等生仲間だとAはすぐに分かった。
こんなところを見られてはいけない。リドルが悪く思われてしまう。
『ほら早く行きなって〜。薄汚いハイエナなんかと話してたら軽蔑されちゃうよぉ』
リドル「……僕でよければいつでも勉強を教えるよ。頑張って」
『わわっ』
髪をひと撫でして教室を去るリドル。
こんなこと予想していなかったAの心が、微かに暖かく感じた。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです！！ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年8月17日 18時) (
レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく読んでいて楽しい作品でした！またどこかで貴方様の作品に出会えますように（＾ν＾） (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください！応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます！お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか？ (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高！ (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：諒 | 作成日時：2020年8月2日 13時
