【ツイステ】捕食者。【男主】

硬貨18枚 ページ19

入学して数ヶ月経ったある日の昼。
既にレオナのもとにはAの噂が届いていた。



それから数日後、移動授業のため廊下を歩いていると、ラギーと異なる髪色のハイエナとすれ違った。



あいつが噂のA・アルメリーか、なんてすれ違いざまに目で追った。




刹那、何かが無くなる感覚に目を見開く。
ズボンの尻ポケットに入れていた財布が突然無くなったのだ。
後ろを振り向くと、Aの尻尾がご機嫌に揺れていた。



要するにアレだ。
20の誕生日を控えるレオナは、16になって間もないAに財布をスられたのだ。
しかも一度では懲りずに、三度も。
そして盗んだにも関わらず、何事もなかったかのように接してきた。笑わずにはいられない。




三度目にしてレオナはAを寮の自室に呼び出した。




レオナ「呼ばれた理由は、わかってんな？」


『何のことだか……』




訳がわからない、なんて顔をしてAは首をひねる。
一挙一動が愛らしく、生徒が大金を落とす理由もわからなくもないな、と頭の隅で考えた。



だが、情状酌量の余地はない。ベッドに座ったまま軽く腕を引くと、Aは大きく目を開けた。




レオナ「俺の財布がよく無くなるんだよなァ、それもお前とすれ違った時にだけ」


『えぇ…？そうなんですか？それは、物騒ですね……！』


レオナ「ハッこの碁に及んでまだしらばっくれるか」




今度は腕を強く引き、Aはそのままベッドへ倒れ込む。



手首をシーツに縫い付けると、弱々しく抵抗の意を見せた。
だが、そんなものでレオナは騙せない。
ハイエナの力はこんなものじゃないとすぐにわかった。




『わ、わっ！なん、せんぱっ』


レオナ「ご丁寧に返してくれたお陰で、犯人がお前だってすぐにわかった。」




その言葉に、目下のAの動きが止まった。




レオナ「お前が盗った金額分、きっちり働いてもらうからな」


『ひっ、ちょ、』


レオナ「大丈夫だ、傷がつかない程度に手加減してやる」




Aは初めて己の行動に後悔した。
次の日は全身が痛かった。人間サマとは違う、貪り尽くされるような。大人相手にしているのとなんら変わらない。



手加減してアレ。NRCにもとんでもない生徒がいたものだ。
初めて生徒相手に余裕もなく乱れた。わざとらしい嬌声なんて上げる暇もない。




今まで財布をスッた人は皆気付かずにいたのに、レオナは一度で気付いた。
人間とは根本から違うのか、と微睡む意識の中で考えていた。

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