硬貨10枚 ページ11
『…おいし』
ルーク「お気に召したようで嬉しいよ」
ゆらゆらと尻尾が揺れる。それを見て、ルークは再度微笑んだ。
昨年、ラギーから得られた情報は少なく、ハイエナの獣人の好みまではわからない。
ミント系は好みが分かれることが多いが、その博打も成功したらしい。
ルークの笑みには安堵の色も滲んでいた。
ルーク「さて、髪の要望は?」
『とりあえず襟足を短く…?あとは任せようかなぁ』
顎に手を当て、小さく唸る。何か呟きながら奥へと消えていった。
そんなに悩まなくてもいいんだけどな…どうせどんな髪型でも似合うだろうし。なんて呑気なAは紅茶を啜った。
のんびり部屋を見回していると、奥からルークが顔を覗かせた。
ルークのもとへ歩いていくと、ダンスホールのような広い場所に到着した。
壁は一面鏡貼りで、小さめのワゴンと椅子が置いてある。
床にはシートが引かれていた。
椅子に座って"お願いしまぁす"と鏡の向こうのルークに言うと、丁寧にハサミをいれた。
ルーク「…洗髪剤はどこの物を使っているんだい?」
『えぇ………わかんない、寮に置いてあるやつ?』
美容には一応気を使っている。顔は1番の商売道具だから。よくわからないけど良さそうなものをチョイスしている。
が、髪に関しては何よりも無頓着だった。清潔感があればいいや、くらい。
基本的に髪を触られることは多くないため、気にしてこなかったのだ。
寮にあるのは、獣人用の低価格の物。
人によっては気を使って高級なものを使うが、Aは髪さえ洗えれば満足だった。
ルーク「こんなものでどうかな?」
『すごーい!今までで1番綺麗!』
ルーク「ふふ、喜んでもらえて光栄だ」
コームを髪に滑らせ、切った髪を落とす。
流石美に詳しいポムフィオーレ。センスも抜群。
少し髪を切っただけなのに随分と印象が変わった。
冗談抜きで、今までで髪を切ってくれた誰よりも綺麗な仕上がり。普通の美容師にお金を払っていたのが馬鹿らしくなるほどに。
『耳が上にあると切りにくくない?』
ルーク「切ってしまわないか心配ではあったけれど、それよりも興味深くて手を止めてしまいそうだったよ」
『僕も切られないか心配だった〜』
へにゃ、と後ろを向いて笑う。
同時にルークは優しい笑みを浮かべてハサミを握り直した。
そして、喉仏に切っ先を向けた。
Aを見る目は鋭く、狩人さながらの雰囲気を醸し出していた。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです!!ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく読んでいて楽しい作品でした!またどこかで貴方様の作品に出会えますように(^ν^) (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください!応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます!お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか? (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高! (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:諒 | 作成日時:2020年8月2日 13時