後輩たちと ページ8
『……すぅ、くー……』
植物園に植えられた木の上でAが眠っている。温帯ゾーンのここには、暖かな空気が流れて陽の光が入ってきて、寝るには絶好のスポットであった。
木の幹を背もたれにするようにして、枝に座ってうたた寝をするA。不意に、その耳がぴくりと動いた。
す、と目が開け木の下を見つめるA。その視線は、植物園の扉を開けて入ってくる集団を見つめていた。
「六人班で課題提出は良いんだけどさー、この材料ってどこにあるわけ?全然無いんですけど」
「もっとちゃんと探さないからだろう」
「あっちの方にある、かな?」
どうやら実験に使う薬草を探しているらしい。Aは頭をゆっくりと振って、意識を覚醒させる。
遠目から見えたその薬草は、確かにこの植物園で作成されている。形のよく似たものが鏡舎の近くに生えてるから、他の人たちはそっちに行ったのだろうか。
Aはそうぼんやり思いながら集団が薬草を探すのを見つめていた。が、あまりにも彼らがモタモタしているのを見てつい声をかけてしまう。
『……探し物?』
「どわっ!?」
「誰だっ!?」
Aは木の上から顔を出して、六人組ーーグリムがいるから七人組ーーに声をかける。ジャックとセベクが他の人たちを守るように前に出た。七人が一斉にAを見る。
ジャックが「あ」と声を上げた。確かあの人、サバナクローの副寮長だった気がする。
『……その花、猫語クッキーの材料でしょ』
「あ、えっと……そうです!」
『……よ、と』
Aの指摘に、ユウが頷く。やっぱり、とどこか得意になってAは頷いた。
そのままAは木の上から飛び降りる。軽やかな着地には成功したがバランスを崩してこけた。何とも締まりのないことだ。
Aは尻についた砂を払いながら立ち上がり、口を開く。エースたちは、木の上にいる時には分からなかったその小ささに少し驚いた。
『これ、生えてんのこっち……』
「アンタ、生えてる場所知ってんの!?」
「案内してもらえるんですか?」
『……ん』
ラッキーとエースが口笛を吹いて、デュースとエペルが頭を下げる。Aは『先輩だから』と笑って、歩き出そうとする。
が、その前に。とAが七人を振り返って告げた。その眉が申し訳なさそうに下がっている。
『ごめん、誰か僕のことおぶってくれない……』
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紫苑(プロフ) - え、かーわーいーいー!何この子愛でたい甘やかしたい守りたいの三拍子が揃う庇護欲をそそられる子なんですけど!ショタ!?ショタですか!?それともロリですか!?ハート撃ち抜かれました (3月4日 15時) (レス) @page12 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - 続きを恵んでほしい、、!!!そしてラギーとの絡みが見たいッッッ!!!!! (2023年4月12日 16時) (レス) @page12 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
yumi(プロフ) - どうか続きを恵んでください! (2023年3月14日 18時) (レス) @page11 id: 2ee13aea9b (このIDを非表示/違反報告)
zfっっっs - こむぎさん» モデルさんとか、綺麗な人はそのぐらいですよ。。。まぁ文字だけ見たら、そう感じるかもしれませんね。。。たしかに十分軽いですけど。。。 (2022年1月4日 13時) (レス) @page12 id: 9afd2abc65 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - タイトルを見て面白そうと思ったら、まさかのテロと同じ作者様…安定の面白作品ですね…!!続き楽しみに待ってます!…所でですが、所々に夢主の名前が変更されていない箇所があるので、名前を変えて読み直すことをお勧めします。 (2021年12月23日 6時) (レス) @page6 id: fb6be3cd03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2021年11月30日 18時