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のろのろと鞄を出して、中身を漁る。錬金術の教科書、飴ちゃん、イヤホン、ゲーム、ノート、筆箱、体力育成の教科書、何かぐちゃぐちゃになった紙。
整理ができないのかしないだけなのか。色んなものが飛び出してくる鞄を見つめて、レオナはそっとため息をついた。
Aは未だ鞄を漁りながら、困ったように首を傾げる。
『……あれ……』
「ほらよ」
そんなAに、横から手が伸びる。Aの目の前に置かれたのは魔法史の教科書。
勿論、差し出しているのはレオナである。
『ありがとー』
Aはふわりと微笑んで、レオナの方に近づく。椅子を動かして、肩が触れそうなところまで近づくと、Aは教科書に視線を落とした。
そのままAは、レオナと一緒の教科書を見て授業を終える。
「おい。お前今日は食堂行くのか」
『……ん、行く……』
授業終わり、立ち上がったレオナが未だ座っているAを振り返る。机の上に置いてあったAの鞄を持ちながら聞けば、Aはゆっくり頷く。
Aはカバンに入っていた苺の飴を舐めながら、ゆっくり立ち上がった。ズボンのお尻を叩きながら、Aがレオナの隣に並ぶ。
「じゃあ行くぞ。お前一人にしてたらどこかで寝るだろ」
『ん』
食堂はいつも通り活気が溢れ、時たま怒声が飛び交っている。全寮生が使う食堂で、他寮生同士の喧嘩が起こるのは仕方のないことではあるが。
やれぶつかっただの、睨んできただの、順番を抜かしただの。血気盛んなNRC生らしい、少しくだらない喧騒の中。
「A、しっかり歩け」
『……疲れた……』
食堂の扉が開き、二人分の声が聞こえてきた。途端に、騒めきが少し小さくなる。よって、その会話は聞こえやすくなった。
一人は学園に居たら確実に一度は聞いたことのある、サバナクロー寮長の声。それに答える声は、いつものハイエナの声ではなくどこか間延びしたような声。
彼らを知る生徒たちは、一斉に首を傾げた。それから怖いもの見たさで入り口の方を振り返る。
そこで繰り広げられていた光景に、生徒たちは目を見開いた。
『おんぶ』
「……ったく、しゃあねぇな」
サバナクロー寮長の隣に並んだ小柄な男が、おんぶを要求した!?しかも受け入れてる!?
そんな衝撃を知りもしないAは、レオナの首に腕を回して安定した場所を探す。鼻腔をくすぐる匂いに、Aは『きゅー』と甘えた声を出した。
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紫苑(プロフ) - え、かーわーいーいー!何この子愛でたい甘やかしたい守りたいの三拍子が揃う庇護欲をそそられる子なんですけど!ショタ!?ショタですか!?それともロリですか!?ハート撃ち抜かれました (3月4日 15時) (レス) @page12 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - 続きを恵んでほしい、、!!!そしてラギーとの絡みが見たいッッッ!!!!! (2023年4月12日 16時) (レス) @page12 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
yumi(プロフ) - どうか続きを恵んでください! (2023年3月14日 18時) (レス) @page11 id: 2ee13aea9b (このIDを非表示/違反報告)
zfっっっs - こむぎさん» モデルさんとか、綺麗な人はそのぐらいですよ。。。まぁ文字だけ見たら、そう感じるかもしれませんね。。。たしかに十分軽いですけど。。。 (2022年1月4日 13時) (レス) @page12 id: 9afd2abc65 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - タイトルを見て面白そうと思ったら、まさかのテロと同じ作者様…安定の面白作品ですね…!!続き楽しみに待ってます!…所でですが、所々に夢主の名前が変更されていない箇所があるので、名前を変えて読み直すことをお勧めします。 (2021年12月23日 6時) (レス) @page6 id: fb6be3cd03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2021年11月30日 18時