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「ふふ、仕方ないなぁ」



うっとりしたような顔で違和感なく顔が近付く。
すると耳に少し冷たいような感覚と視界がぐらりと歪む感覚がした。まさか。

「うん、やっぱり似合う。社長と僕と、君しか付けたことないからね」




どわっと冷や汗が吹き出る。まさかこの人、まさか


「似合うじゃないかA」
「与謝野さんもそう思う?ささ、その眼鏡で解いてご覧?名探偵」






『ひ、ひぃぃ…恐ろしすぎて、か、顔が動かせないです…あ、あぁぁ怖い、!外して!!外してください!』



そう、彼の宝物、探偵社の命とも言えるであろう眼鏡をあろうことか私にかけてきたのだ。

絶対に壊せない重圧と烏滸がましいという気持ちで殺されそうだ。さっきとは違う鼓動の速さを感じる。



「あ!なんで目瞑るんだ!全く君の……」
『君の、なんですか?!とりあえず早く外してください!!』
「Aのあほ面が映えなくなるだろ!ほら!推理して!」



『無理!!無理です!怖い!』
「はぁ?怖いってどういうこと?」
『ていうか眼鏡があっても超推理は出来ないですよね!?乱歩さんの異能力でしょ?!』


「ピーチクパーチクよく鳴くねぇAは」
『こ、この…!』





「何してるんだい?Aちゃん」

心からの叫びを全く聞き入れてくれない名探偵に絶望していたその時、救世主ともいえる人物、太宰さんが入室してきたのだ。

調査員自慢の身体能力で、机を挟んで膝立ちする乱歩さんの頭上を思いっきり飛び越えて太宰さんの方まで走る。
もちろん、自分の安全より眼鏡の安全だ。

眼鏡をしっかり抑えて包帯を巻いた腕にしがみついた。



「おわっ、随分積極的だねぇ」

『はい!異能力無効化!推理出来ません!眼鏡取ってください!!』


掴んだ太宰さんの腕を挙げて自ら試合終了の鐘を鳴らす。
与謝野女医が私の身体能力に拍手して、乱歩さんは不機嫌そうに溜息をついた。


「Aもやるじゃないか!」

「本当に君はつまんないね〜!おい太宰、お前が台無しにしたんだ、ラムネの一本や二本ないと許さないぞ!」



人差し指を挙げてずんずん近付いてくる名探偵に太宰さんが少し仰け反る。

それは、と太宰さんが言葉を口にしようとした時、乱歩さんは彼の腕を掴んでいた私の手を無理矢理引き剥がして、強く握った。



『Aは、ラムネじゃ、許さないから』

それから優しく眼鏡を抜き取って、目も合わさずに戻って行ってしまった。
握られた手は少しだけ、汗ばんでいた気がする

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- 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時

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