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「そうそう最後に、えぇと、小林だっけ?君がAに選ばれなかったのは二つ。Aは既に僕のものだから。それと?僕の方がAを好きだから!!」
「嗚呼三つか、最後。Aは_________」
歩を進め始めた乱歩さんと一緒に私の意識は落ちていった。三つ目、何て云ったんだろう。
額に浮かぶ汗が歩行の振動で頬を伝うの感じたのが最後だった。
*
暖かい珈琲の匂いと、名前は分からないがよく聴くような小鳥のさえずり。意識がぼんやりする中でも伊達に回数を迎えている朝だというのはわかった。
「あーあ、なんだかこうしていると寝込みを襲っているみたいだな。最近だけで幾つAの寝顔を見た事か」
『……乱歩、さん。おはよう、ございます』
早朝、冷めた空気で目を覚ますと隣で珈琲を啜っている名探偵が居た。昨日の気持ち悪さに比べて幾分か楽になったようだけど…。
「うぇ、もう少し砂糖入れれば良かったー!……楽になった?君は覚えてないだろうけど解熱剤飲ませて寝かせたからね。よく寝れたんじゃない?」
『お陰様で、…そういえば乱歩さん、昨日もありがとうございました』
「いいよ別に。破談になって僕も嬉しいからな」
角砂糖をドボドボ入れながらニヤリと口角を上げた。
そんな乱歩さんをぼーっと見ながら昨夜の事を思い出す。正直、格好良かった。最初はどうなる事かと思ったけど結局はいつも乱歩さんの手のひらの中だ。
本当にいつもいつも私の横には乱歩さんが居て、私でも気が付かないような私の事に気が付く。
『…あ、そういえば、昨日の三つ目なんて云ってたんですか?』
「三つ目?嗚呼、見合い場所出る時に云ったやつの事?」
『その辺から覚えてなくて、何て云ったのかなって』
「三つ目、Aは僕の事が好きだから、だよ」
『…え、?ん?』
「Aは僕の事が好きだから君に勝ち目ないよ〜って事だよ。そうでしょ?」
そうでしょったって私が乱歩さんを好きなんて一言も云った事ないのに。
勢いよく起き上がって困惑する私に乱歩さんはケラケラ笑い始めた。何かの冗談ですか?
「本っ当に君は莫迦で愛らしいな!僕はAよりもAを知っている自信がある。それに僕が間違った事を云うと思うか?」
私が乱歩さんを好き?私が?
だって乱歩さんは私の事をすぐコケにするし玩具にするし、好きになる要素なんて
考えれば考える程顔に熱が集まる。
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時