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『大丈夫ですか?具合が悪そうですけど』
「すみません…少し人に酔ってしまって、お色直し中だったのですが、兄を見かけませんでしたか?」
艶やかな黒髪を纏めた女性がふんわりと笑う。ナオミちゃんを連想させる様な美人さんで思わず心が奪われた。之は新郎さんがぞっこんなわけだ。
『すみません…分からないです』
「そうですよね、」
するとタイミングよく私が曲がった角から2人の男性が焦った様子で飛び出してきた。格好から察するに1人は例のお兄さんで間違いなさそうだ。
「蘭子、!大丈夫か?!案内ありがとう、よし、歩けるか?」
「すみません兄さん。貴方もありがとう」
『あ、いえいえ、お大事になさってください!』
随分と献身的な兄らしい。余計谷崎兄妹と重なってしまって少しだけ切なくなった。
蘭子さん。やっぱり新婦さんだ。乱歩さんが"蘭"の話をしていたのを思い出す。
「貴方はどうされたんですか?」
『え?嗚呼、道に迷ってしまって、元の部屋が分からなくなってしまったんです。』
もう1人の案内役だった男性はクスリと笑って、そんなに複雑な構造ではないと言った。
瞬く間に顔が熱くなるのを感じて、自分の頭の弱さに恥ずかしくなる。
「良かったら案内しますよ、ふふ」
『す、すみません…』
蘭の香りとは違った爽やかな香りがする男性は、新郎さんの秘書にあたるらしい。素敵な笑顔の好印象な男性だ。私の歩幅に合わせて歩いてくれる。紳士だ。
他愛もない会話をしながら歩いていると、少し先の曲がり角から走った様な足音が近ずいてくる。
秘書さんと顔を見合わせると、現れたのはよく知った
「A!!」
『乱歩さん!どうしました?そんな慌てて』
「乱歩さん…?嗚呼、江戸川乱歩様ですか」
名探偵だった。
隣にいる秘書さんを少し見た後、私の腕を強く握った。
「どうしましたってねぇ!遅い!遅すぎだ!ったく君は本当に僕が居なきゃダメなんだから!」
「江戸川様のお連れ様でしたか。わたくし新郎の秘書を勤めている者です。」
「あっそ」
一切合切興味が無いと切り捨てて、私の腕を引く。軽く躓いた私を支える為に手を差し出そうとしてくれた秘書さんを乱歩さんは睨む。
「君はもうAと随分会話しただろ。もう終いだ」
「…申し訳ございません。それではAさん。また」
私の名前を呼んだ彼に舌を打つ。流石に色々急展開すぎでは。
「人のモノには手出さないでもらおうか。」
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時