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「君新郎だよね?あと少しで披露宴っていうの?始まるらしいけど、ロビーなんかに居ていいの?」
「本日来て頂いた方に挨拶に回っていまして…江戸川さんには必ず声を掛けるよう父に言われていたので」
「ふーん」
随分律儀な好青年だ。まだ全然若そうなのにこんなに立派な式を挙げられるのはお嫁さん側としては夢のような日だろうな。
乱歩さんに連なって私も立ち上がる。
『素敵な式ですね。見た所まだお若いのに』
「実は親の財閥同士の結婚なんです。自分の家が妻の会社と合併する為に…といいますか 」
『そうなんですか…』
僕としては妻にベタ惚れですので政略結婚でも幸せなんですけどね、なんて笑う新郎さんに私も頬を緩める。
幸せなんだな。
「すみません、僕はこれで!」
周りの人が会場に入っていく様子を見て慌てたように走り去る新郎。幸せそうな背中を見届けながら流れに乗って私達も会場へ入る。
タキシードっていいな。
「僕は正直和装結婚式でも良い」
『乱歩さんってそういうの拘るんですか?』
「別に?嫁のお好きにどうぞ。まぁケーキはでっかいのが良いけどね!」
なんだかんだで乱歩さんも理想の結婚式像はあるのか、なんて思うと面白くて笑ってしまった。
クスクス笑う私を尻目にまた満足そうに笑って先を歩いていく乱歩さん。どうやら本当に上機嫌らしい。
*
『ら、乱歩さん、あ、あの』
「ん?何?大きな声上げたら目立つよ。映像上映中だし」
そんなこと言って一切映像を観ずに運ばれてくるスイーツをひたすら口にしているじゃない。
膝の上に置いてある手をキュッと服ごと握って意を決して口を開く。
『お、御手洗行きたくなっちゃったんです…!』
フォークを一旦止めていかにも面倒くさそうな顔をしてから扉を指さした。
「抜ければいいだろ」
『式とかわからなくて…抜けていいんですか?』
「さぁ?僕常識とか嫌いだから。扉の係員に声掛ければ」
そう云うとまた口を開いてスイーツを放り込む乱歩さん。
全く興味無いらしいのでそそくさと扉へ向かった。こういう時皆こちらを見ないで欲しいと強く思う。
*
懐からハンカチを取り出して手を拭く。鏡に映った自分が思っているよりもお洒落していて驚いた。
トイレから出たはいいものの、立派な会場であるが故、絶賛迷子中である。
『あれ〜?さっき此処来なかったっけ…』
角を曲がると、新婦と思われる女性が具合が悪そうに口元を押えてしゃがみ込んで居た。
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時