四月の天使に叶え【江口拓也】

アフィニティ ページ17

当たり前だが、声の芝居とは違い体を使っているのでどうも緊張してしまう。声優なのに声を使わないとはなんか変な感じだと、写真撮影の時はいつも思う。




カメラマン「卯月さん、江口くんの手を取ってみて」




言われた通り、右手で拓也の左手をとる。少しゴツゴツした、綺麗な手。




「爪してたんだ」

江「さっき塗ってくれたんだよ。ネクタイとおんなじ赤と黒」

「ボルドーとネイビーだろ」

江「よくわかんなぁ」

「常識。それアーガイルって柄なんだよ」

江「へぇ。卯月のシースルーの袖もそうだよな」

「そうそう。さっきスタイリストさんに聞いた」

江「お前も大概だな……」



カメラマン「江口くん、卯月さんの腰に手回してみて」

江「え、マジすか？」

カメラマン「コンセプトなんですっ！」




なぜかキラッキラな瞳のカメラマンさん。周りのスタッフも頷いている。




江「………はぁ、恨むなよ」

「別に恨みはせんけど。拓也好みの体型じゃなくてすまんね」

江「俺こそ理想の身長差じゃなくてすまんな」

「懐かし！12センチだっけ？」

江「俺が絶対巡り会えないやつね」

「女性で175とか珍しすぎるもんね。モデルさんを彼女にしな」

江「モデルさんだと体型気にしちゃうだろ」

「あー、世知辛い」

江「ほんとそれ」

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