黒服の秘密のお仕事

22 side紫耀 ページ22

「King&Princeさん、
チェック終了です！
本番まで待機よろしくお願いしま〜す」

「ありがとうございました！よろしくお願いしま〜す」

音楽番組のリハが終わって

「ジンく〜ん！めちゃくちゃカッコよかったです〜！」

最近人気が出てきたガールズバンドの
ボーカルの子だ

さっき挨拶に来た時に
ジンのファンだって言ってたっけ


さり気なくジンに触れている女の子を見て
横を歩いていた海人が

「紫耀…こないだ浜田さんが言ってた事…助けるな、ってやつ…ああいう事かな…」

無難に対応してるジンを見届けて
廉が俺の代わりに答える


「そうやろうな…俺らはジンが自分で何とかするのわかってるし、助けて騒ぎになったらジンとあの子が困る」

廊下をすれ違うスタッフに挨拶しながら


「言ってたもんね、呼び捨てを誰かに聞かれたら、教育不足ってクレーム来るって…一度の油断でクレーム、同業者が隙を狙ってる、評判に繋がって問題解決にクビ切られる…それってさ」




「俺らと一緒やな」


楽屋に無言のままで入った俺を
岸くんがポンポンっとして

困ったような笑顔で


「俺らが歌って笑顔を届けるように、彼女もプライド持って仕事してるんだな。尊重してやりてぇよな？」



「…大丈夫…ちゃんとわかってる」



でも岸くん

俺言わせてしまった



ーーー全力で守りますよ


仕事であろうと
女の子に言わせて


俺は何も出来ない




コンコンッ

楽屋のドアがあいてジンとマネージャーが入ってくる

強ばった表情の二人をみて
全員が何かあったとわかった

「紫耀、今日からホテルに泊まる。本番終わりで動くぞ」

…え？

「明日発売の週刊誌で、ドラマの親睦会帰りに相手役のミリさんと取られた写真で熱愛疑惑が報道される」


「…え？」

「話題作りに使われた。シリアスなドラマだから注目集めの為らしい。ミリさんの事務所とドラマのPとの間で、すでに決まってたらしい」

携帯に写真が出されて

「これまた…ベタやな」

廉の言う通り
ミリさんがタクシーに乗る時に後ろに居た俺とだけ切り取られた写真だった

隣には他の共演者が居たのに

「いいか、話題作りだから、肯定も否定もできない。明日の朝から確認に来た記者には、お伝えできる事はありません、で通すんだ。できるな？」



ぁぁ…
ほらまた
俺が考える時間をくれない


俺は
操られてるだけの王様…

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