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「……ここの審神者は、そんなやつだったんだ」
今の景色とは真逆だ。
空気も水も澄みわたり、雨の日でさえ心地良かった。
夜になると細かい星が散っていてなあ…。
「綺麗だったんだ」
自分の記憶を見ているような気分だった。
一瞬だけ、とんでもなく綺麗な空気を吸った気がした。
泣きそうな悲しい気がして、聞こえてくるのは三日月宗近の声。
「…救ってやってはくれんか」
ざあぁああ...と、波が引くような音がして、三日月宗近に向かい合った。
戻ってきたみたいだ。
…?
こんな状態から戻ったのに、安堵の声が聞こえない。
『薬研さ』
呼ぼうとして三日月宗近から目をそらす。
と、そこには縁側の下に倒れた薬研さんがいた。
驚きを隠せず駆け寄る。
こんな話の途中で申し訳ないが、今まで殺しにかかってきてたやつと比べたら薬研さんの方が圧倒的に大切だ。
その華奢な体を起こして、膝に乗せ腕で頭を支える。
とても冷えていた。
こういう時揺らしてはだめだったっけ?
でもこのまま起きなかったら?
『や、薬研さん』
「神力が底をついただけだ」
突然三日月宗近が口を挟む。
『は?』
焦りのあまり口が悪くなってしまった。
二秒間くらい薄い笑みを貼りつけたまま固まった三日月宗近に少々腹が立ったが、私も薄い笑みを貼りつけることによっておさまった。
「俺が隠している間どうにか干渉しようと頑張っていたからな。神力を分けるか休ませていれば問題は無い」
はよ言えアンポンタン☆
なんて言うか三日月宗近のしゃべり方がのたのたしててとてもイライラしている鈴ですはぁい。
少しは体温も上がってほしい思いで、腕に力を入れる。
よく見れば薬研さんはとても端正な顔をしていた。
整いすぎている。
やっぱり想像する神様はみんな綺麗だもんね。
えっとそれで、話の続き…
私がここから出るイコール審神者さんを救うって思ってるから…。
でも今までは死なずにきてるけどただ幸運なだけで、私に敵対してる神様はまだいらっしゃるわけで…。
いやその前にどういう心変わりだよ。
あんなことやこんなこと(物理)までされて恐怖で死にそうだったんですが。
あ、でもここから出ても行くところないじゃん。
ちら、と三日月宗近を見上げる。
なんだか迷っている様子。
何をだ。そこまでわからん。
「すまなかった」
。
ぶはっと思いっきり吹き出す。
『なんですかそれ、本当に思ってますか?』
三日月宗近がぎょっとした表情を、私は見ていない。
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ニャンコソバ2(プロフ) - 若葉さん» うわぁあ!!まだ見てくださってた方が…!!ありがとうございます頑張れます…!! (2020年11月8日 10時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 更新待ってます! (2020年11月8日 1時) (レス) id: 5ef262c096 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 幸別愛友さん» ありがとうございますー!!!これからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年12月14日 6時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - この世界観すごく好きです!続きがすごく楽しみです!待ってます!! (2019年11月12日 23時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - さらさん» うわぁあありがとうございます!!!!!オチは悩み中です…。いきあたりばったりで書いてる駄作者なので…。 これからも応援よろしくお願いしますっっっ (2019年11月5日 22時) (レス) id: addc7bb8eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニャンコソバ | 作成日時:2018年12月31日 17時