【オリジナル】たいせつなひと (ページ21)

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結果をいうと、

合唱コンクールでは賞は一個もとれなかった

無理もないと言えば無理もない

私もクラスのみんなも、

なんとなくそう思っていたと思う

「A、俺じゃなきゃだめって気がついた？」

教室で、文化発表会反省報告書を書いている時に

下校時間は過ぎているのに、なぜか彼がいた

「なんで今そんなこと言うの」

「A、どうして俺から離れたの」

「好きな人できたんでしょ」

「それは関係ないじゃん」

人間関係という言葉を知らないのだろうか

もし、彼が好きな子と付き合えたとしよう

私が仲良くしているのを見たら、

その子は絶対いい気持ちにはならない

そもそも、私が彼と近くにいれば、

彼が好きな子と付き合うことは無い

だから離れたのに

「別に離れたわけじゃないよ

忙しかったんだ」

「自分が忙しくしたんでしょ」

「違うよ」

「違わない」

やっぱり彼はわかっていない

人間関係とは何か

「どうしてわかってくれないんだよ

お前が一番大切だって」

「蒼琉に彼女ができたらわかんないよ」

「彼女より大切なんだって」

「じゃあ、もういっそのこと、彼女にしてよ」

言ってしまった

なんで、言ってしまったんだ

もう、この関係が終わる

崩れ落ちる

「冗談よせ

俺はお前とは付き合わない」

「じゃあなんで、大切って言うの」

「大切にするのは恋人じゃなきゃいけないのかよ！」

初めて彼は私に怒鳴った

初めて彼が怖いと思った

「お願い、蒼琉

もう帰って」

「言われなくてもそうする」

私たちの関係はきっと今日で終わる

長かった

でも

たった一年半だった