ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

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『……なんで、』



｢あ？｣



『……っ、なんでそんなかっこいいの！
これ以上、好きにさせないでよ…苦しい。』







好きで、好きで、好きで。
意思と反して涙が出てくる。
拭っても拭っても止まらなくて。


りんちゃんにしてみれば、食事を奢った女がいきなり泣き始めて癇癪を起こしたように見えるだろう。
面倒以外の何物でもないはず。





だけど、もう限界だった。
知り合ってまだそこまで経っていないにせよ、
ピンチを救ってくれ、さり気ない優しさをみせられ。
恋愛経験が乏しい自分にとってそれらは強烈だった。





｢……へぇ、好きなんだ、俺の事。｣



彼は俯いているためどんな顔をしているかわからない。




｢でもお前、酔ってるじゃん。｣


『酔ってる、けど、嘘じゃないもん……。』





いつもの敬語はどこへやら。
これじゃただの生意気な女だ。









｢……明日、素面の状態で聞くわ。｣



とりあえず泣き止め。みっともねぇんだよ。
と、少し鬱陶しそうな様子で車に押し込まれた。




『好き、好きなんだもん…………。』


そんな事をブツブツと言っていると、
やがて瞼がだんだん重くなってきて、私は意識を手放した。








｢…………ハァ。｣




ミラー越しにため息。
果たしてそれは、どちらの意味か。



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