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「それからだ、俺が家に帰らなくなったのは。まぁ、テメェみてぇに相手を殺しすらしなかったが、汚れた身体で大切な奴と会いたくねぇっつーのは、少しは、分かるはずだ」
だから、と言葉を続けながら、土方はAの無事な右腕を掴み、首に回した。空いた手は腰に回して身体を支える。それを、Aは黙って受け入れた。もう救済の手を、拒む理由はない。
「A、自分だけが悪人面する必要はねェよ。俺もどうせ同じ穴の狢だ」
「……そうか」
「ほら、早く帰んぞ」
一歩、二歩。交互に足を前に動かして、ゆっくりとその場を離れる。もしAにとっての土方のように、沙々木と菊の抱える悩みにもっと寄り添うことが出来たら、もっと違う結末を迎えていただろうか。そう考えかけて、詮無いことだと緩く首を振った。
「……なぁ、土方」
「なんだ？」
「私は、お菊が死んでからずっと罪悪感を背負って生きてきた。自分で自分を罰するように、たくさん黒い仕事も引き受けたよ。ほんと気分悪いもんばかりだった」
「ああ」
「土方もきっと暗い仕事をしなきゃならない日が来る。だが、組織の頭がそれをやってると誰も付いて来ねぇよ。リーダーに必要なのは、信頼とカリスマ性だけだ」
Aは、自分か叶えることが出来なかった未来を、希望を託した青年に、精一杯背中を押すように言った。Aに、再び世界の美しさを教えてくれた土方に出来ることといえば、人生の先輩として、言葉を送ることだけなのだから。
「だから、オマエが代わりに「鬼」になれ。近藤さんを光とするなら、土方が闇を全て引き受けろ。そうすりゃ、皆綺麗な光だけを見つめていられる」
「望むところだ」
ーー「バラガキ」
武州では、手が付けられない荒くれ者をそう呼ぶのだという。だが、最近ではある男を示す呼称となっていた。例え身を引き裂くような茨の上でも、躊躇わず歩き続ける。その男の名は、土方十四郎。暗い夜道でも、そうだと分かるほどに、彼の瞳は爛々と輝いていた。
身体の奥深くに秘める眩しいくらいの情熱が、Aに仄かな明かりを灯す。それは友情とも、ましてや愛とも違う新しい何かの誕生のように思えた。
「……私、オマエのそういう所がスゲェ好き」
「は、っ？な、何言ってんだA？！」
「土方何で動揺してんだ？……あ、なんか勘違いさせちまったかぁ？もちろん友人としてに決まってんだろ？」
「う、ううるせぇな！！減らず口叩いてっと置いてくぞコラ」
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
