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「テメェ騙しやがったな！」
「勘違いしたのはそっちだろーが！」
「……ッ！」
呼吸を整える暇もなく襲いかかる連撃に、土方は防戦を強いられる。とにかく速い。そして、土方の隙を確実に突く。その正確さは、まるで精巧な機械のようだった。胴を狙った攻撃を紙一重で躱した土方は、素早く構え直して瞬く間に距離を詰めた。
「くそ、っ」
初めて津々楽に僅かな焦りが見える。開戦と同時の速攻で仕留めきれなかったことが、予想外だったのだろう。一瞬の隙に付け込んで土方は斬りかかる。捉えた。対応しようとする津々楽よりも僅かに早い。その刹那の時間差が、明確に勝敗を分けた結果となった。
土方は竹刀の先をピタリと津々楽の首の横で止める。
「俺の勝ちだな」
大きく肩を上下させながら勝ち誇ったように笑う。同じく荒い息を繰り返す津々楽は、悔しげに顔を歪めて言った。
「次は私が勝つから」
土方は当然のように「二回目」の話をした津々楽に目を丸くする。だが、それも束の間。獰猛な笑みを浮かべながら応える。
「ハッ、いつでも受けて立ってやる」
津々楽はにっと口の端を吊り上げる。
彼女の名字は津々楽。年齢は二十前後に見える。近藤の知り合いで剣術修行の旅をしている。剣の腕は近藤の道場で五本の指に入る土方と同等か、それ以上。土方が彼女について知り得た情報はそれだけだ。だが、剣で語り合った者として、もう随分長い間共に過ごしているように思えた。
無観客であるはずの試合に、突然拍手が湧き上がる。
「よい試合だったな、二人ともお疲れさん！」
聞き慣れた声に引き寄せられるように津々楽と土方が揃って目を向けると、そこには近藤が満面の笑みで立っていた。
「近藤さん、見てたのか」
「いつからいたんだ？」
土方、津々楽の順で驚きを口にすれば、近藤は微笑ましいものを見るような瞳で「途中からだ」と言う。津々楽との約束の時間に遅刻すると慌てて帰ってみれば、道場から響く竹刀の鋭い音を聞いて駆け付けて来たのだとか。
「今更かもしれんが、トシに紹介するよ。津々楽さんだ。今朝甘味屋で会ったばかりでなぁ、オススメを選んで貰ったんだ」
「ああ、好きな女に贈ると聞いたからな。それで想い人とは上手くいったのか？」
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
