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相川さんは小走りで玄関へ向かう。その数秒後には、さっきまで画面越しに見ていた人を同伴して連れてきた。
……うん、実際に見てみるとさっきの二割り増しくらいイケメンだ。マスクをしていないからかな。相川さんの横にいる、そらるさんを見て考える。
「えーっと……? まふ、さっきの説明じゃほぼほぼ理解不能だったんだけど」
「あー……、ちょっと後で説明します。とりあえず座りましょ!」
予想通り、というべきか。
そらるさんはこちらを見て困惑している。まあ相方の家に見知らぬ少女、だなんて混乱以外の何者でもないだろう。
とりあえずそらるさんに向かって、ぺこりと一礼をした。
「まず自己紹介からね。こっちにいる男の人はそらるさん、僕の相方!」
「それさっきも聞きました」
「あれ、そうだっけ」
相川さんは首を傾げた。
これ、私も自己紹介をした方がいいのかな。そう考えて、そらるさんに向き直った。
「私はAです。今年から中学一年生。半ば強引に相川さんに連れてこられました」
「え、僕了解取ったよね?」
「ほぼ脅しじゃないですか、あれ」
放って置いてもらいたい、と何度言ったかわからない。そこを説き伏せてきたのは相川さんだ。
「……時系列順に、もっと詳しく説明してもらってもいい?」
少し疲れたような顔でそらるさんが言う。更に困惑させてしまったらしい。
申し訳なさを覚えつつも、この状態にしたのは十中八九相川さんだ。……たぶん。
「……聞いてて気持ちのいい話じゃないと思いますけど」
「いや、状況説明に気持ちよさ求めてないって」
ごもっともです。
そらるさんの正論に無言の相づちを打つ。
でも、聞いていて気持ちのいい話じゃないのは事実。それにあまり事情を知られたくない。知られすぎると、お人好しな彼らは更に私を気にかけるだろう。
しかし、濁すのもわざとらしすぎる。考えた結果、事実を淡々と述べることにした。
「……少し長い話になりますよ」
私の記憶が正しければ、確か二年ほど前のこと。
そう前置きをして話し始めた。
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千々(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます!その後話も気になりますが、これ以上書き足すと蛇足になってしまいそうだったので…笑 たぶん夢主ちゃんは幸せに暮らしていると思います。想像の中でお楽しみいただけると幸いです! (2022年12月6日 19時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年10月13日 22時) (レス) @page38 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - いちごあめさん» コメントありがとうございます! この題名は中々インパクトありますよね笑。あわああ他の作品も見ていただけるんですか、ありがとうございます! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
いちごあめ - 完結おめでとうございます〜!!題名に釣られたんですけど目に入って本当に良かったなぁって感じてます、笑 他の作品も見させて頂きます( *´ワ`*) (2020年8月26日 21時) (レス) id: 6feff1c97c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» ありがとうございます! 時間があったら他の作品も読んでいただけるんですか!? めちゃくちゃ嬉しいです! 次作も一生懸命頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願いします! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時:2020年7月4日 16時