【まふまふ】屋上から飛び降りようとしたら、下の人と目があった。

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優しい両親に、愛されて育った一人娘。

幸せ。その一言で形容できるであろう家族は、ある日突然、終わりの時を迎えた。



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＿＿＿私の両親は悪い人ではなかったと思います。逆にその正反対ですね。優しくて、お人好しで。人畜無害と表現するのが正しいような人でした。


そうすると当然騙されやすいわけで。二年前、父の高校時代の同級生と名乗る人が現れたんです。

おかしいですよね。高校時代の同級生、だなんて今更現れる理由がありません。同窓会もしてないようでしたから、何十年も会っていないはずです。

けれど、高校時代のアルバムも持っていましたし、あの人が父の同級生だったということは間違いないと思います。


いえ、要点はそこではなくて。

その人は多額の借金を背負っていたんです。子供にそんな生々しい話を聞かせるわけもなく、私が知っているのは少しですけど。

その人は借金を返済するために、別のところからお金を借りるつもりだ、と言っていました。そこがまあ……保証のある金融ではなくて。ほら、ヤミ金融というやつです。


そして、その人の保証人に父がなりました。

本当に馬鹿じゃないかと思いましたが、私の父、母はそんな人なんです。人を疑うことを知らずに、どこまでも純粋に生きている人たち。

そんな二人から、どうして私みたいなのが生まれたのか不思議ですけど。……あ、ここも要点じゃないです。


そして、その借金を返さずに、その人は姿を消しました。私たち家族に残ったものは、ウン千万の借金だけです。

ドラマみたいなことですけどね、現実ですよ。


その後、両親は借金を返済するために必死に頑張りました。

警察に通報？ そんなことできませんよ。ヤミ金融といえど、正式な手続きを踏んだ上での借金ですし。


しかし、遂に借金の返済期限が来てしまいました。

まあ、当然ですよね。もともと私たちには貯蓄があったわけでもないですし、子供一人を抱えての借金返済です。


私たちに残された道は一つだけでした。……家族で心中するか、逃亡するか。

両親がどちらを選んだのかは知りません。そのときには私、自ら死んでしまおうとあそこ―――ほら、相川さんと出会ったところに居たんですからね。


ああ、最後まで両親はその人―――借金を背負う原因になった人を恨んでいませんでしたよ。私からしてみれば正気の沙汰ではありませんけど。


私が話せるのはここまでです。＿＿＿



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