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暗がりの中、わずかにある街灯に照らされたのは一人の人。

髪が白いな。地毛ではないと思うから、染めているのかな。なんて意識が別の場所に飛んでしまうが、すぐさまそんなことを考えている場合ではないと思い直す。

飛び降りようとした矢先に、出会った人。想定外の状態に対処する術を、私は知らなかった。



「え……? え、これ、ん……?」



未だに下の人は混乱しているのか、こちら、つまり上を見上げて唸っている。

あわよくばこのまま去ってくれると嬉しいのだが。そんな思いをこめて、下にいる人の視界に入らないように、後ろに下がる。

けれど、そんなに都合の良いことはやはり起こらなかったようで。



「えっと……? これ、警察? 警察、に連絡した方がいいの、かな?」



呟いたその言葉は、今の私にとっては聞き捨てならない言葉だった。



「やめてください!」



声を荒げ、廃ビルの階段を二段飛ばしで駆け下りる。

少しばかり足場は不安定だが、何年もここを上り下りしている私からしたら朝飯前だ。

タン、と音がして、一階まで下りれたことを確認すると、すぐさまあの人がいた場所に向かう。

はぁ、と肩で息をすると、先ほど目があった人に向き直った。



「やめてください、それ」

「えぇ……?」



まあ混乱してるよな、と思う。

駄目だ、さっさと帰ってもらわなければ。変に情報を与えて、ここに引き留めてしまうのは愚か者のすることだ。



「どうもお騒がせしてすみません。私はもう帰るので、あなたもさっさと帰られたらいかがですか?」



まあ、帰る気など毛頭ないが。

とにかくこの場を離れてもらわなければ。そんな焦燥感に駆られる。



「いや、えっと……。あの、今、飛び降りようとしていた、よね?」



あそこから、と、その人は廃ビルの屋上を指差す。



「そんなことするわけないじゃないですか。見間違いじゃないです?」

「え……? どう考えても、そうとしか思えないけど……」

「あなたの勝手な主観ですね。わかったらさっさと帰ってください」



命令口調になってしまうのはしかたがないだろう。

ああ、鬱陶しい。なるべく夜中のうちに済ませてしまいたいのに。



「……じゃあ、君も帰ったら僕も帰るよ。さすがに、こんな夜中に小中学生くらいの子供を放っておくのは出来ないし」



どこまでもお節介な人物に出くわしてしまったようだ。

はぁ、とため息を一つ吐いた。



「いいですよ。私、今から帰るので」

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千々(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます!その後話も気になりますが、これ以上書き足すと蛇足になってしまいそうだったので…笑 たぶん夢主ちゃんは幸せに暮らしていると思います。想像の中でお楽しみいただけると幸いです! (2022年12月6日 19時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年10月13日 22時) (レス) @page38 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - いちごあめさん» コメントありがとうございます! この題名は中々インパクトありますよね笑。あわああ他の作品も見ていただけるんですか、ありがとうございます! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
いちごあめ - 完結おめでとうございます〜!!題名に釣られたんですけど目に入って本当に良かったなぁって感じてます、笑 他の作品も見させて頂きます( *´ワ`*) (2020年8月26日 21時) (レス) id: 6feff1c97c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» ありがとうございます! 時間があったら他の作品も読んでいただけるんですか!? めちゃくちゃ嬉しいです! 次作も一生懸命頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願いします! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/  
作成日時:2020年7月4日 16時

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