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歌い手について、そして僕、まふまふについて説明し終えると、妙な達成感が沸き上がってくる。
わざわざ説明する必要はないのだが、なぜかもっと知ってもらいたくて、饒舌になっている自分がいた。
「相川さん、詳しいんですね。その……歌い手さん？ について」
ボーカロイド曲とかも『千本桜』くらいしか知りませんでした、とAさんは笑う。
これを機にもっと知ってくれたらいいな、そんなことを思ってしまう僕は、既に彼女に毒されているのかもしれない。
「……あ」
ハイブリットカーのエンジン音がして、僕ら、正確にはAさんの前に止まる。
音でAさんも気づいたのか、顔をあげた。
「もうお母さんのお迎えが来たので、行きますね。ありがとうございました」
律儀に礼をして、扉の開いた車の中にAさんは入っていく。
どうやら目が見えなくなっても、大体のものの場所はわかるらしい。……少しばかり危なっかしくて、冷や汗をかいたが。
ブルルン、と音を立て、Aさんが乗った車は走り去っていく。
明日もここへ来るのかな、なんて考えて自分の予定を確認する僕は、きっと大馬鹿者だ。
＊
……自分でも、わかっている。
今している行動がストーカーじみていることなんて、とっくに理解している。
昨日とは違って、偶然ではなく狙ったうえで僕はここへきている。昨日、Aさんと会ったあの眼科の前に、同じ時間に。
案の定、Aさんは昨日と同じように眼科の前のベンチで座っていた。毎日、同じ時間帯に来ているらしい。
うわああ、なんて頭をかかえ、けれど電柱に隠れながら彼女を見ている僕は、傍から見たら変人に見えるのだろう。
理解しているけど、どうもここを離れることができない。
でももちろん、声をかける勇気なんて出なくて。
「……あれ？」
Aさんが顔をあげる。アイマスクをしているのに、きょろきょろしているのは、単なる癖だろうか。
いや、そんなことを考えている場合じゃない。こんな行動をしているのがバレたかもしれない。ゆっくり、一歩ずつ後ずさる。
「……相川、さん？」
……え、バレた？
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年12月8日 19時) (
レス) @page23 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - おパンツドラゴンさん» ありがとうございます！ 小説家を目指しているのでそう言っていただけるのはとても嬉しいです！ 応援ありがとうございました！ (2020年7月6日 18時) (レス) id: a6aff5c4e4 (このIDを非表示/違反報告)
おパンツドラゴン - 千々さん» もう小説家になってもいいぐらいお話作るの上手ですよ!今回もとても良かったです! (2020年7月5日 20時) (レス) id: 981305fe40 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - haru☆さん» 感動ものになってたかめちゃ不安だったけど、そう言ってもらえて嬉しい！ 曲は組み込みたくなっちゃうんだよねぇ〜これもリスナーの性() (2020年7月5日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 杠葉＃さん» 完結ようやくしたよ〜！ なんか尺が毎回延びまくって完結できるか不安になるの(笑) 素敵なのは透椛ちゃんかな！！！ (2020年7月5日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千々 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時：2020年6月16日 17時
