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パソコンを閉じて、ベッドから出る。
今、まふまふさんの新曲が出ることは絶対にない。
なぜなら、彼は二日前に倒れたのだから。
原因は過労、とのこと。彼の相方であるそらるさんが言うのだから間違いないだろう。
心配だが、私には祈ることくらいしかできなかった。
「沢島さん、朝食の時間ですよ」
看護師さんが持ってきてくれた朝食を一瞥する。
玄米をすりつぶした卵がゆ。
なるべく消化の良いものを、栄養のあるものを食べなければならないのだ。
「食べ終わったら呼んでくださいね」
「はい」
看護師さんが出ていったのを見計らって、白い病人服のズボンをたくし上げる。
看護師さんが朝食を引き取りにくれば、母さんがお見舞いに来る。
だから、この病院を抜け出すのには今しかないのだ。
＊
病院から抜け出すには走ってはいけない。
だいたい、私の体調で走るのは無理だし、走ったとしても怪しまれるのがオチだろう。
壁沿いに、目立たないようにゆっくりと足を進める。
…やっぱり、久しぶりに歩くのはキツイな。
めまいがする。目の前が真っ暗になる。
「あっ」
誰かとぶつかってしまって声を上げる。
もし、看護師さんだったら病室に連れ戻されてしまう。それだけは避けなければ。
「大丈夫ですか！？ あまり前を見ていなかったもので…すみません」
「いえ、こっちこそ…」
どこか聞き覚えのある声だな、と思って顔を上げる。
そこには、いつもパソコン越しに見ていた彼の顔が。
「まふまふ、さん…？」
高い身長に、特徴的なソプラノボイス。
白い肌に白く染められた髪。
あまりにも突然のことに、言葉を失ってしまう。
「沢島さーん。沢島さんはいらっしゃいますか？」
いつも朝食を持ってきてくれる看護師さんの声が聴こえる。
駄目だ。今病室に連れ戻されるわけにはいかない。
「ごめんなさい、隠してください！」
一声かけ、まふまふさん(と思われる人)の背中に隠れる。
看護師さんは私に気が付かず、通り過ぎていく。
思ったより気が付かれるのが早かったな。
「すみません…」
「いえ、大丈夫ですよ。…でも、いいんですか？ さっき、看護師さんが探していたの…あなた、ですよね？」
「あ、はい…。そうなんですけど…」
私が周りを気にしているのを察したのか、まふまふさん(仮)は「一度、僕の病室に行きましょうか」と声をかけてくれた。
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千々(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます！ (2022年12月5日 9時) (
レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ (2022年11月4日 20時) (レス) @page22 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 藍猫さん» おお！おめでとうございます！！（一年ほったらかしにしてて本当にごめんなさい……） (2022年9月4日 11時) (レス) id: 84f8a35d43 (このIDを非表示/違反報告)
藍猫 - ｽｳｯｯｰｰｰｰｰ…そういえば10月18日って私の次の日じゃないですか…えまって嬉しい( 〃▽〃) (2021年7月17日 2時) (レス) id: 0f30a0c194 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 飢えているから書けたんですw そう言っていただけるなんて嬉しいです……！ 自信につながります１ (2020年6月18日 21時) (レス) id: a6aff5c4e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千々 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時：2020年4月30日 15時
