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向かったのは、数十分ほど歩いた先にある公園。

初めてDMで真冬さんと連絡を取ったときに、待ち合わせをした場所だ。

東京の公園は学生の溜まり場になっていることが多いが、ここは近くになにかを買える場所もなく、溜まり場にしようとしてもできない。

だから、この時間はろくに人がいないのが現状だ。けれど、今日はそこに佇んでいる人が一人。―――真冬さんだ。


高身長に白く染められた髪、彼を知らなくても、思わず二度見してしまいそうになる出で立ち。

その姿を見て安心してしまう私は、どれほど真冬さんの存在に依存していたのだろうか。

外灯に照らされた彼は、どこまでも幻想的で。天使と称されるのもわかる気がするな、と苦笑した。



「……」



姿は見つけたものの、声をかけるべきか迷ってしまう。

もう断ち切ると決めたはずなのに。未練たらたら過ぎやしないか。

幸いにも、真冬さんはまだ私に気がついていない。家に帰るなら今だ、そう自問しても、家に帰る気は起きなかった。

けれど声をかけるのも億劫で、物陰から彼を眺める不審者にいつのまにかなってしまっている。



「……Aさん、やっぱり来てくれないかなぁ」



スマホ画面に目を落とした真冬さんが発した言葉。

呟くような声でも、しっかりと私には届いている。



「来て、いますよ」



私、なんてことをしているんだ。

もう関わらないと決めたのに、私は真冬さんの傍にいる資格なんてないのに。

なるべく声を小さくしたつもりだが、もちろん真冬さんにはしっかりと届いていたようで。真冬さんはぱっと顔をあげると、辺りを見回す。

電柱の後ろに隠れている私を見つけだすのに、そう時間はかからなかった。

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千々(プロフ) - そらねこさん» お話の波乱万丈さをあまりかけなくて、心情描写に気を使ったのでそう言っていただけてとても嬉しいです! ありがとうございます! (2020年7月15日 19時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
そらねこ(プロフ) - ああ……好きです……心情描写が細やかで綺麗で切なくて、読み終わった時なんか胸がふわっとしました……語彙力がなくてもどかしい!ありがとうございました! (2020年7月14日 18時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - しぇるふぃあ。((芦原晴))さん» ですよねですよね! 個人的にその台詞すごく気に入っていて! そう言っていただいて嬉しいです! 両片想いからの両想いっていいですよねぇ……このお話それを書きたくて書いたんですもん←← (2020年7月14日 17時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - 個人的に両片想い→両想いが大好きなのでドストライクでした。良い作品を読ませていただいてありがとうございました!! (2020年7月14日 12時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。有名人ならではの恋のし辛さやSNSでのトラブルの展開がいいスパイスになって、全体的にしっとりとした雰囲気の漂う作品でした。mfさんの「ユーフォリアなんて言わせない」がとてもよくて涙腺が……! (2020年7月14日 12時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/  
作成日時:2020年6月7日 15時

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