わがまま×お嬢さま【HUNTER×HUNTER】

第４４話【身体に染み込んだソレ】 ページ45

*



「ひっ」


誰かが悲鳴をあげた。
誰かが逃げようとした。
誰かが撃たれた。


「これを見ちまったお前らはもう逃げられねえんだよ！」


皆が泣きわめく。
ミカちゃんも焦っている。
けどAは無表情だった。


「なんだこいつ。泣きわめかねえとは肝座ってんな」
「こいつから殺すか」
「A！！」


ミカちゃんは叫ぶ。するとミカちゃんは男に蹴られた。


『あたしの友達に……手出さないでくれる？』
「あ？」
「殺せ」


男たちは銃を構える。
Aは腕を伸ばし杖を持った。
男たちが銃を撃つと同時に杖に内蔵されているらしい傘を広げた。
男たちは驚いた。傘は銃弾を吸収している。それに気づくと男たちは撃つのをやめる。途端、男たちは次々倒れていった。吸収されていた銃弾が男たちを撃ったのだ。


「……！銃弾戦はやめろ！斬りかかれ！」


死んでいない男たちが次々彼女に斬りかかる。傘だった杖は元に戻り、彼女はそれで男たちを殺していった。その動きはとても手練れだった。
最後にボスらしき男に内蔵されているらしい銃を撃つ。



完全勝利。
その言葉がふさわしかった。






『……皆、大丈夫？』


Aは後ろで見ていたであろう友達の方を見る。皆褒めてくれるだろう。そんな目で見た。
しかし待っていたのは怯えた目。


「来るな、この悪魔！！」
「ひっ」


少年たちは家を飛び出した。
彼女の脳裏に映像が流れた。
それは確かに彼女の記憶だった。褒めてもらおうと思って頑張っているのに返ってくるのは罵声の声、恐怖の目。悪魔という単語。


『……あれ』


彼女は静かに涙をこぼす。
ふとミカちゃんを見つめた。彼女は男に蹴られ、気絶してしまったようだ。
彼女はミカちゃんにこの前のフェイタンと同じよう治癒魔法をかける。ただの殴られた気絶だからか何の影響もなかった。


『……』


Aはミカちゃんを公園に運び、木の下に座らせる。彼女が目覚めたら、皆と同じ反応をするのだろうか。Aは怖くなった。彼女が目覚める前にここを去ろう。
Aは帰宅するために歩く。通りすがる人々に恐怖の目で見られながら、蔑むような目で見られながら帰る。


彼女は血まみれだった。

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