わがまま×お嬢さま【HUNTER×HUNTER】

第４３話【遠いところ】 ページ44

*



それからは何もない日々が続いた。
彼らは仕事に行くし彼女は外へ遊びに行く。
おかえり。ただいま。行ってきます。行ってらっしゃい。
旅団内ではこの挨拶が少し大事になってきた。
ちゃんと帰ってくるんだよと。
ちゃんと帰ってこれたねと。


『行ってきまーす！』
「いってら」


今日もAは外へ遊びに行く。
ちなみに昨日またミカちゃんと喧嘩したらしく今日謝るらしい。


『ミカちゃん昨日はごめんなさい』
「私もカッとなったところあるし、ごめんね」


2人は遊ぶ。
ブランコを漕ぎながら話すのが2人のお決まりだ。


「そういえば昨日、家帰ったらお兄ちゃんいてさー」
『ミカちゃんお兄ちゃん居たのね』
「基本遠いところに居るから珍しいけどね。ゲームしかやんないし、ダラけてるのに家事とか上手いから腹立つの」
『ミカちゃん不器用だものね！』
「あんたに言われたくないわ」


ミカちゃんは軽く睨みながらため息をついた。
彼女はあまり家庭事情を話さない。だから誰よりも彼女と仲良いAもあまり知らないのだ。
逆にAは話を聞いてほしいタイプなのでミカちゃんにはベラベラ喋っちゃっている。


『お兄ちゃんと仲悪いの？』
「んー、どうだろ。ほら、遠いところに居るから会うことがまず少ないんだよね。居る時も家事以外はゲームばっか。そのくせ世話焼きで文句が言えないのよ」
『それは腹立つわね』
「でしょ！」



しばらくすると他の子達も集まってきて鬼ごっこやかくれんぼをしていた。


「そうそう、今日俺の家遊びに来いよ！」


少年の誘いに皆はついて行く。
彼の家に遊びに行くのは頻繁なことだ。彼の家はお金持ちだった。遊ぶゲームはたくさんあるし美味しいおやつもある。
今日もそれを楽しみにしていた。


「母ちゃん！友達連れてきたぜ！」


いつもならここで何かしらの返事がある。
しかし、ない。それどころか荒らされた形式がある。
そう、彼の家はお金持ちだ。


「お前ら不運だなぁ！」


狙われることだってある。

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