第13話【悪意がないからこそ恐ろしい】 ページ14
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「……で、これなに」
あの後、Aがカレーを装い皆に出すとシャルナークはその臭いと見た目に口元を押さえながら聞いた。
『カレーよ!』
「……」
シャルナークは自身の知ってるカレーを浮かべる。うん、こんなのではない。
『さ、食べて食べて!』
Aのきらきらとした目を向けられ、シャルナークはスプーンを持つ。手の震えが止まらない。その場にいる皆もシャルナークを見つめる。その目は哀れみを向けているようだった。
震える手を抑えながらシャルナークはカレーを口の中に入れる。その途端、シャルナークの顔色が変わり喉に手を当てる。
吐き出したい。とても。
しかし、Aが見ているのだ。そんなことできない。シャルナークは水を飲みなんとか耐えた。なぜだろう。視界がくらむ。この料理は凶器だ。
『どうだった??』
「美味し……かったよ……」
声が震える。
シャルナークの姿を見て、そして自分たちに向けられたAの目を見て。他の者たちは恐怖を感じた。自分たちもああなるのかと思うと戦よりも断然怖え。
『皆も食べて!』
悪意のこもっていない笑みを向けられて断れる者はいるのだろうか。いや、いない。
「嫌ね」
いや、いた。
『このあたしが作った料理よ?世話係が食べるのは当然!これも仕事よ!』
「お前の世話係にな______」
フェイタンの顔色が悪くなった。彼もまたシャルナーク同様喉を抑える。口にあるそれ。いつ入れられたのか。誰も見きれなかった。それほど先ほどの彼女は速かったのだ。油断していたのもあるが。
フェイタンは吐き出すためトイレに行こうとするもAによって阻止される。この娘はこんなにも力が強かっただろうか。
皆の前で吐き出すのは自身のプライドが許さない。フェイタンは頑張ってそれを飲み込んだ。途端に視界がくらむ。こいつはなにを入れた。自分の見ていない数分でこいつは何をした。
『さ、次はあなた達よ!』
笑顔で告げられる自身の死刑宣告。逃れることなどできない。
第14話【普段なら軽く言えるその言葉も時には恐ろしく聞こえるのだ】→←第12話【魔の数分間】
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永遠の18@みやちゃん(プロフ) - きぃさん» ありがとうございます!主人公ちゃんもミカちゃんも私好みのキャラにしているので大好きと言われると嬉しいです(笑)これからも頑張らせてもらいます! (2019年4月20日 21時) (レス) id: e44bb0483d (このIDを非表示/違反報告)
きぃ - 主人公ちゃんもミカちゃんもかわいくて大好きです!更新頑張ってください!! (2019年4月19日 19時) (レス) id: 6e365f857a (このIDを非表示/違反報告)
ワサビ餅(プロフ) - 永遠の18@みやちゃんさん» 返信は遅くっても全然大丈夫です!!(笑) (2019年4月12日 19時) (レス) id: 0bb12ee9d2 (このIDを非表示/違反報告)
永遠の18@みやちゃん(プロフ) - ワサビ餅さん» お返事遅くなり申し訳ない!私もミカちゃん好きで当初はただのモブキャラ予定でしたが……続きはCMの後!(笑)お互い頑張りましょねー! (2019年4月12日 18時) (レス) id: e44bb0483d (このIDを非表示/違反報告)
ワサビ餅(プロフ) - 登録人数すごいですね!!ミカちゃんが個人的には好きです!お互い頑張りm(殴←(何様やって感じですよね。(笑) (2019年4月2日 10時) (レス) id: 0bb12ee9d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:永遠の18@みやちゃん | 作成日時:2019年3月8日 1時