未だあの日の夢を綴る。【オリジナル】 (ページ1)

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目が覚めたらページ1

＿＿＿あなたも、ここにいるじゃあないですか。

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「暗い」という感覚は、明るさを知っているからこそ生まれるものだと、私は思うのです。

あなたが、人生で初めて「暗い」と感じたのは、いつのことなのか覚えていますか。

羊を数えても眠れず、一抹の不安を見にまとい、朝日が姿を現すのを、延々と待っていたときでしょうか。

かくれんぼで押し入れに隠れたはいいものの、時間だけが過ぎてゆき、このまま誰にも見つからないのではないか、という恐怖を抱え、されども自分で扉を開けることはできなかったときでしょうか。

思い出せましたかね。

それでは、なぜ、それ以前には、「暗い」と感じたことがなかったのでしょう。

……少し難しい質問でしたね。少し話を変えましょう。

やはり人は、生きていく上で、苦しく、辛く、痛く、哀しい体験をすることも多々あります。

しかし、それらは私達人類の幸福のためだとしたら、いかがでしょうか。

直近で、あなたが一番喜んだ時の情景を、事細かに思い出してみてください。

それが終われば、次は、一番苦しんだ時の情景を。

どうです。後者の方が、より鮮明に、はっきりと、具体性を帯びて思い出せたでしょう。

……え？

もう何も思い出せない？

それは困りましたね。

記憶が消えている……ということは、そろそろあなたも元の場所に戻った方が良いんじゃないですか？

……いえ、結構です。

私のことはお気になさらないでください。

あなたがいくつになっても、私はここで、ずっと待っていますからね。

そう、いくつになっても……