一緒に帰ろう ページ6
喜んでくれたのでまぁいっか、と思っているとそのパジャマも私のバックの中に入れようとするから慌てて止めた。
さすがに兄ちゃんと千さんの前で着る気は無い。
「何で〜？百くんたち喜ぶと思うけど。」
『私が恥ずかしいの！これは矢島さんの子どもに着せてあげて！』
渋る矢島さんを説得してペンギンパジャマは未来の矢島さんの子どものために矢島さんに返した。
「結婚の予定はまだ無いのよ？彼氏だって……。」
『大丈夫だよ、矢島さん可愛いんだから。あとはもう少し落ち着くことを頑張ったら…。』
「…それ、前の彼氏にも言われた。。」
べそをかく矢島さんをなだめながら病室の片づけを進めていく。
【…明日、退院か。】
結構長く入院してたけど、なんだかあっという間だったな。
そう感じるのは多分、兄ちゃんたちのおかげ。
兄ちゃんと会ってから、やっと私の時間が動き出したような気がする。
そんなはずはないのに、生まれた瞬間から私の時間は進んでいるのに、まるで兄ちゃんと会うまでは死んでいたような気さえする。
これから、どんな生活が始まるんだろう。
事故物件って千さんが言ってたけど、どんな部屋なんだろう。
外は知らないことがたくさんだ。
期待と不安に胸を膨らませながら次の日を迎えた。
―――――
「「「退院おめでとう！！！」」」
主治医の先生やほかの看護師さんも祝ってくれた。
矢島さんがなぜか一番張り切っていて、朝から私に昨日買った服を着せて、髪の毛まで結ってくれた。
そして一番泣いていた。
寂しがりつつも「もう病院に来ちゃダメだからね！元気に生活するんだよ！」と言ってくれた。
病室に迎えに来た兄ちゃんはちょっとだけおめかしした私を見て無言で抱きしめてきた。
困りつつ千さんを見ると「Aが可愛いからだよ。」と言われて、嬉しくも少し恥ずかしかった。
「入院服以外のAって初めて見たから、なんか照れちゃった！」
体を離した兄ちゃんがそう言って笑うので、つられて私も笑う。
「A、退院おめでとう。本当に、元気になって良かった。…はい、これ。オレとユキから退院祝い！……開けてみて。」
そう言われて小さな袋を受け取る。
可愛いラッピングがされた小袋には、{Aへ}と書かれている。
なんだろう？
『……これ、ピアス…？』
手のひらに出すと部屋の電気に照らされてキラッと光った。
白い丸型の中に小さな星が模様されている。
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欅夏希 - とっても面白いです！感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています！お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (
レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます！！！ (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テル | 作成日時：2020年3月3日 13時
