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声は届かない ページ30

side.England





「はい、今は就寝しています。
多分慣れない土地で疲れてしまったんでしょう。
・・・そうですね、わかりました。
それでは失礼します」




端末の通話ボタンを切り、一息つく。



Aの上司は何だかんだでアイツに優しい。




言葉は厳しいものだったが遠回しに物凄く心配しているのがわかる。





「さて、俺も寝るか」




机に置いていた水差しから水をつぎ口に含む。




何だかんだで俺も疲れていた。



だが、気持ちは晴れ晴れしていた。




(さて、これからどう攻めるか)




そんなことを思いながらベッドに潜り




アイツのことを考えていたらいつの間にか意識は飛んでいた。







────深夜




(・・・・・・?何だ?)



突如目が覚めたのはドアの音が聞こえた時だった。




キィと嫌なくらい耳につく音。




昔の名残で音には敏感だったのがよかった。





(誰だ?)




俺を狙う刺客か、それとも使用人か。




つかつかと近づく足音に集中し、




もしもの時は取り押さえる準備をする。




ボスン



その足音は俺のベッドの所で止まり、



急に俺の上に乗ってきた。




どんだけ大胆不敵なやつなんだ。




さて、刃物が出る前に抑えるか。



と考えていたが、俺はこの布団越しから香る臭いを知っている。




この花のように落ち着く臭い。




さっきまでまとっていた人物。




(何やってんだよ、コイツ・・・!)



俺の想いを知っているのか
今の状態の俺に夜這いなんて、





「随分と大胆だな、A」




俺は起き上がりコイツの手首を掴んだ。





誰が女の下になるかよ。




上になるのは俺だ。





白い布団に押し倒す。




想像していたようなしてなかったような




実際にやると、何とも興奮するものだ。





「そうする意味流石にわかってんだろ」




「・・・・・・」





顔を真っ赤にしてAは俺を見つめる、




わけでもなく。





無機質で無感情な顔が俺の瞳に映る。




「おい、A?」




「・・・・・・」




黙ったまま何も話さないA。




様子が妙におかしい。




寝ぼけているのか。






今度はアメジストの瞳が俺を捉える。




そしてにぃと弧を描く笑顔。




まったくAに合わない。





これは────





「何だ、つまらん奴め」




「・・・お前誰だ」




今ならわかる。




こいつはAであって

Aじゃない。

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抹茶塩(プロフ) - 夢々煙さん» 夢々煙様、コメントありがとうございます!イギリスはちょっとカッコよすぎたかもなと今更ながら思っておりますw最後まで読んでくれてありがとうございました(*⌒▽⌒*) (2017年12月19日 12時) (レス) id: d8767b3e74 (このIDを非表示/違反報告)
夢々煙(プロフ) - 最後までとても素敵なお話でした…!イギリスの一言一言がカッコよ過ぎました。これからも頑張ってください応援してます (2017年12月19日 7時) (レス) id: b3413670f5 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶塩(プロフ) - ちまごんさん» ちまごん様、コメントありがとうございます!感動して頂けるなんてとても嬉しいです^^*シリーズ化ぜひ期待していてください!最後まで読んでくださってありがとうございました!次の作品も楽しみにしていてください(´∀`) (2017年12月18日 0時) (レス) id: d8767b3e74 (このIDを非表示/違反報告)
ちまごん(プロフ) - やばいめっちゃ素敵だ、感動した…!シリーズ化期待していいですか…いいですよね…! (2017年12月17日 22時) (レス) id: 31ff02926d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶塩(プロフ) - ぽっぷこーんさん» ぽっぷこーん様、コメントありがとうございます!最後のシーンを気に入ってくださり光栄です(*^^*)また次のお話やこのシリーズをぜひ楽しんで頂けたら幸いです。最後まで読んでくださってありがとうございました(´∀`) (2017年12月17日 10時) (レス) id: d8767b3e74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶塩 | 作成日時:2017年12月7日 11時

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