彼を落とすための攻略本：イギリス 【APH】

花嫁をさらいに 2 ページ26

side. England




だが少しだけわかった気がする。



俺の気持ちも。



怪人の気持ちも。



どうして男して見てもらえないことに不満があるのか。




いつの間にかできていたモヤモヤが取れた




この馬鹿にわかるように言ってやらないといけない。



さぁ、幕が上がる。




『今宵は月が綺麗だ。
あなたを攫(さら)うには少し明るすぎるか』



俺は姿勢を整えAに目を合わせる。




確か怪人はこう言っていたはずだ。




今のアイツの顔は予想どうりのマヌケ面だ。




『だが、私は貴方に恋をしてしまった。
どうか私の家まで攫われてくれないか』




待ち合わせ場所であった時のように手を取り、



手の甲に口づける。


思ったよりも誘惑めいたものを感じ



少しだけ吸い上げてしまった。



だけどこれでいい。




『麗しい私の花嫁』




我ながら少しキザだったかもしれない。




｢あ、あえ、あわ、｣




瞬間



アイツの顔は茹でダコのように真っ赤になる。


あぁ、これだ。



この顔だ。



俺は幾度となくAの照れた顔を見てきた。




その時は俺のモノだと独占欲が湧いてしまう。




俺と同じ目線で嬉しいといったA。





男として嬉しいに決まってるだろ、馬鹿。



俺に1回火をつけさせたらどうなるか


このかわい子ちゃんに教えてやらないとな。



｢・・・はぃ｣



顔の火照りはさめないまま少しだけ睨んできた。



どうせからかってるとかと思ってるんだろ。



男の前でそういう顔をすると




馬鹿だから勘違いする奴は大勢いる。




まぁ、その馬鹿には俺も含まれてるわけだが。





今は別に本気にしなくていい。



だが、いつかは本気にしてもらうけどな。

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