彼を落とすための攻略本：イギリス 【APH】

花嫁をさらいに ページ25

side. England






エンジントラブルによる飛行機の欠航。



Aはあからさまに落ち込んでいた。




それがいつもより増して見えるのは




あのオペラを見たせいでもあるのだろう。





｢取り敢えず私上司に連絡します・・・！｣




バッグの中から小さな端末を取り出し


上司に報告しようとするA。




俺は俺で出来ることをしようと改めて端末をいじる。




今からアイツが泊まれるホテルをなんとか見つけ、
案内番号に電話をかけようとした所で俺の手次第には止まっていった。




今の状態のコイツをこのまま？




Aは困惑している。




いくらプライベートだからといって他の国にいきなり寝泊まりだなんて心細いのは当たり前だ。





何より


(泣き顔をした女をそこらへんのホテルに入れんのは英国紳士・・・いや男してどうなんだ)




｢あの、イギリスさんお願いがあるんですけど｣





上司との電話を終えたのかどこか探るように俺に話しかけてきた。



どこか私が寝泊まりする場所はありますか




不安そうな顔を浮かべ尋ねてくる。




とっくに調べていたが俺はまったく反対の言葉を発していた。




｢俺ん家は、どうだ｣




やばい、結構恥ずかしい。
どこのナンパ野郎だ。




｢え、いいんですか！｣




すると純粋な笑顔でそう答えた。




(あぁ、またか)




この俺を男として見てません発言。




前のこともう忘れたのかよ






────『どうやったら私を見てくれますか』

────『私は貴方を愛しい人と見ることはできないのです』



なぜか俺は急に今日のオペラのセリフを思い出した。



そうだよな、怪人はあんなにも好きでいるのに。



────『私はこんなにも、』

俺はこんなにも、



────『貴方をお慕い申しておりますのに』

お前の事が、




事が・・・




｢イギリスさん、おはようございます｣




｢だからっ、早く持ってきたので褒めてください！｣




｢え、どこについてますか！？｣




｢だ、だめです！せっかく分かるのに！｣



｢一緒に行きましょう、イギリスさん！｣




｢イギリスさんと同じ目線でいられるだけで嬉しいですから｣




泣き顔も照れた顔も笑った顔も




俺のものでありたい。


だから



(す、きなのか)




困惑の夜は続く。

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