* ページ8
一瞬息を呑む私。
黒木君の瞳が、あまりに妖艶で……綺麗で……
寂しげで……
でも、はっと我に返ったの。
黒木君、あのままだと風邪ひいちゃうっ!!
慌てて駆け寄る。
「黒木君?黒木君!」
「…アーヤ……」
その瞳が、こちらを向く。
ドキン、と、胸が鳴った。
……どうして、
そんなに、泣きそうな目をしているの?
「…っ、黒木君、何してるの?傘は?」
そう聞くも、
「…俺は……」
そう俯いて、何も答えない。
〜〜〜。
もう、じれったい!
私は思わず、その手を掴んだ。
わ、冷たい……。
「アーヤっ?」
初めて、その声に感情が灯る。
私は聞かずに、強引に近くのお店の軒下まで引っ張った。
・
「ちょっとまって」
傘をたたみ、地面に置いてから、カバンからハンカチを出す。
「はい、これで拭いて?」
そう渡すと、黒木君は驚いた顔をして、つき返してきた。
「いや、いいよ、俺は大丈夫だから」
もう、どこが大丈夫なのっ?
そんなずぶ濡れな格好で言わないでよねっ。
頑なに受け取ろうとしない黒木君にしびれを切らした私は、できる限り背伸びをして、その頬に片手を添えた。
最大限に開いたハンカチで、頑張って拭く。
黒木君が、目を見開いた。
「アーヤ……」
「動かないでね」
そう強く言うと、やっと大人しくなった黒木君。
目を閉じて、されるがままになっている。
わあ、睫毛、ながい……。
ちょっと嫉妬しちゃった。
男の子なのに、ずるい!!
でも、肌も綺麗だよね…。
髪の毛もサラサラだし。
黒木君が女装したら、きっとめちゃくちゃ綺麗なんだろうなあ。
そんなことを考えて、思わず手が止まる。
訝し気に目を開けた黒木君。
「……?」
不思議そうに見られ、私は慌てて手を動かした。
黒木君の女装姿を想像してたの、なんて、言えないっ。
72人がお気に入り
「短編集」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ